−−この作品は、田村直美の活動の上ではどんな位置にあるものと考えればいいのですか? まさか、今後はこういう路線でいくというわけではないでしょ?
自分の歩く道の上のひとつ、ですね。不規則な企画ものだとは決して思わないです。最初に話したように、私はそれまでの自分を壊して変化するやり方をしてきたので、どれもが自分のオリジナルだと考えています。もうジャンルで分けて考える必要はないと思うんです。なんであれ、ちゃんと消化していければいい。私、欲張りなんです。見たこともないものは、とりあえず食べてみたい。ジャズは10年前に手を出して、消化不良を起こしちゃったけど。今すぐにできないものであれば、あとはどれだけ自分を待てるか、です。
−−なるほど。
歌って、聴いたことのないものは歌えない。だけど、聴いたことのあるものなら、練習さえすれば歌えると思うんですね。時間はかかるかもしれませんが。たとえばジャズは10年前だとノリすら分からなかったけれど、その後も自分の中で、ずっと温め続けていたんでしょうね。外国語の勉強と同じです。聴いたことがあければ、歌えるようになる。
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−−「NEW VINTAGE」という題にもそのあたりの意味が込められているのでしょうか
最初は単に「VINTAGE」という題にしたかったんです。ビンテージジーンズとか、「掘り出し物」という意味かと思っていて辞書で調べたら「当たり年の精選ワイン」という意味だったんだけど、山本くんによると英語だとあまりよい言葉ではないといわれて、困っちゃった挙げ句、英語としては正しくないのかも知れないけれど「NEW」をつけてみて。言葉で表しにくいものを作ったのだから、それでもいいかなと思いまして。
−−作品の雰囲気から考えると女性に聴いてほしいですか?
どなたにでも聴いてほしいです。ただ、クラシックをよく知っている人たちに怒られないようにしたいな。
−−これからの田村直美は?
具体的なことでいえば、これからスタンダードを極めたいという気持ちはあります。一方で、欧州の音楽ってどんなかなって興味津々。スパニッシュとか。このあたりを歌ったらどうなるかなって、こっそりと考えたりもしています。ともかく、歌うことに欲張りでいようと思う。私ね、ほかの人のコンサートにいくと歌いたくなっちゃうんです。すごくうまい人の公演なら一緒に舞台に立ちたいと思うし、とんでもない人だったら、マイクを奪って私が歌いたくなっちゃう!
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