パリジェンヌと猫と
ハンドバッグ
東芝EMI
TOCP-67198
¥2,548
9月25日(木) カミーユ*Long Interview
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ミーユはパリから登場した新しい女性歌手。かすみがかった歌声は、のびやかな歌唱で聴く人の心にしのびこむ。パリの裏路地をすまして歩くネコのように、スッと。その歌詞は、優雅なのに切なくてドキッとさせられる。シャンソンという古い袋につめられた新しいワイン。それがカミーユ。「パリジェンヌと猫とハンドバッグ」(東芝EMI/TOCP-67198 ¥2,548)で、日本にもお目見えし、来日したのを機会に話を聞いた。

interview,photos & text by Takeshi Ishii
取材・撮影・構成 石井健
「パリジェンヌと猫とハンドバッグ」
−−今夜の客席の反応をだいぶ気にしているみたいですね?

初めて、フランス語を知らない聴衆の前で、しかも長めの演奏をしましたから。その分、自分の音をとても客観視できました。言葉がわからない人が聴くのは歌詞ではなく、ニュアンスというかサウンドでしょ? そのあたりをすごく注意ししながらうたいました。フランスのシャンソニエ(シャンソンのライブハウス)だと、もっと客席がざわめいているけれど、そういうのではなく、確かに聴いてくれているのだけど、言葉は伝わっていないのだという不思議な経験でしたからね。

アルバム「パリジェンヌと猫とハンドバッグ」を日本でも出したカミーユは宣伝を兼ねて来日。東京都内のホテルでファッション雑誌の読者を招待した演奏会を行ったのだ。そこはふしぎなホテルで、ロビーがバーになっている。若い女性を中心にした聴衆は思い思いのドリンクを手に、ギターとベースだけを従えたカミーユの歌に耳を傾けた。聴衆は十分に満足していた。その証拠に、終演後はサインを求めてなかなかその場を立ち去らない人たちが大勢いた。が半面、こうした場での演奏会に不慣れだからかアンコールを求めるきっかけを失いもした。だから、カミーユは自分の歌が気に入ってもらえなかったのではないかと気に病んでいた。そんなわけで、インタビューはこんな話から始まった。

−−ふだんはどういう場所で演奏しているの?

パリでやるときは、600-800席ぐらいのホール。フェスティバルですと3000人規模ですね。でも、まあ、フランスでやる場合はみんな言葉を理解しているので…。
−−こういう小さい会場は、あまり経験がない?

いえ、まだそれほど有名なわけでもないので、どんな場所でだって演奏するつもり。そういう経験を重ねながら“自分の場所”というものを確立していきたい。というわけで、もちろん、このぐらいの規模の場所で演奏したことはありますよ。

−−アンコールをやらなかったけれど

ほんとうは用意していたのだけど、アンコールを求める拍手がなかったので、どうしたらいいのか分からなかった。私のほうから出ていくわけにもいかないし…。今夜は、ほんとうに初めての体験の連続でしたね。いえ、決して感じが悪いというんじゃないんです。ただ、ただ不思議な経験だったのです。

−−でも、日本の聴衆の反応って、だいたいこんなもんですよ

フランスでも北部にいくと内向的なひとが多いので、大きな反応はなく、それには慣れているので、反応がないから聴いていないんだ、ということではないと理解はしています。

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