産経WEB | ENAKトップページ | インタビュー記事一覧
ENAK 流行+芸能 宝塚歌劇団特集 | 映画情報 | 百貨店情報 | TV | 音楽 | 舞台 | インタビュー | 話題 | 訃報
木村カエラ ENAK LONG INTERVIEW VOL.22
歌手
木村カエラ(2)

一気に書き上げた「happiness!!!」
アルバム「KAELA」は12曲収録。全曲自分で歌詞を書いた。2曲では曲作りにもかかわった。その2曲は、高校卒業後に出合ったバンドでのオリジナル。

まず、曲のテープを受け取り、それを聴きながら歌詞を考える。テープは作曲者が「ラララ」と旋律を歌っている場合が多いが、その「ラララ」の向こうからぼんやりと言葉が聞こえてくるのだという。たとえば、シングル「happiness!!!」は、まず「足りないなら」「falling in love」という言葉だった。


「『happiness!!!』は単なる恋愛の歌に終わらせるのではなく、もっと広い意味での幸せについて書きたいと思った。まず、さびに単語を当てはめて、それからブワーッと、ちょっとした幸せについて書きました」

デビューシングル「Level42」については、こんな裏話。自分のスタートはtvkのおかげという感謝の気持ちを込めて、tvkのチャンネル数である42をタイトルにした。

「モデルの仕事を始めて、今の事務所に入り、tvkの番組に出合えた。それでCDを出せることにもつながった。すべてが関わり合っていますよね」

「D.T.S」という歌もタイトルの意味が分かりづらいが、これは最初に旋律を聞いた際、砂漠で3人の男がギターを弾いている風景が浮かんだ。「ドンタコス」というあるメーカーの菓子のテレビCMキャラクターを連想し、それが頭から離れなくなってしまった。つまり、「ドンタコス」が転じて「D.T.S」なのだと笑う。これは、さすがに本人の解説なしには分からない。

いつも前向き
そんなお遊びの部分もあるのだが、総じて歌詞はしっかりしている。私小説ふうに身の回りのことをちまちまと書いたものではないし、言葉は映像を喚起させる。

「歌詞を書くときは自分のことについて書くのではなく、ある人立場の人の気持ちをそまぞまに考えて書きます。たとえば『D.T.S』は、いじめについて書いている。あるいは常識とは何かと問いかけている。大勢の人の共感を得られるような歌詞を書くよう心がけています」

木村カエラ こうした歌詞とすぐれた楽曲とが相まって、アルバムは非常にしっかりとしたロック作品に仕上がっている。だから、何度もいうが、モデルの余技と片づけてはいけない。おじさん記者は、自分の先入主を恥入り、大いに反省するのだ。

これからは、音楽第一に、だけど、ほかのこともやりたいと瞳を輝かせる。モデルの仕事はやっぱり表現手法を学ぶうえで大切だし、さまざまなことを通じていろいろと吸収し、それを音楽に還元させたいのだという。

ところで、ひとりの女性としての木村カエラは、どのような人物なのか。

「私は人間が大好きです。人に会うのが好き。会えば、この人は何を考えているのかと考えるのが好き。悩みを抱え込まない。だから、私の歌詞は“変に前向きだね”っていわれることもありますが、私は信じているんです。基本的に物事はどうにかなるものだと。強く思えば、進もうともがかなくても事態は必ず進展するのだと」

なるほど取材での受け答えはハキハキとしている。20歳なのだからしっかりしていて当然だが、小柄だから幼い印象をもってしまいがちで、そのギャップにとまどう瞬間もある。おっと、また、おじさんの先入主。いかん、いかん。

なんにせよ、実際に、CDを出すまでにこぎつけたのだから、彼女の信念は正しかったということになる。

しかし、ほんとうに前向きな性格。コンプレックスってないの?

「ありますよ! 私は甘えん坊で、ともかくだれかがそばにいてくれないとだめなんです。そばにいる人にはベタッとくっついちゃう。すると“しつこい”ってきらわれる。そこを直さないとだめだと思っているんです」

え? それってコンプレックス? 本人にすれば、確かに悩みの種ではあるんだろうけど…。だけど、たぶん、人間はだれでも心の奥底にやっかいな自分を抱え込んでいるいるはず。それを抑え込めるだけの意思をもっているかどうか。たぶん、彼女はその意思をもっている。だから、前向きな作品を作ることができる。押しつけがましくなく、自分が率先して前に進む姿を見せているような歌を聴かせることができる。



TEXT & PHOTO BY TAKESHI ISHII/石井健


1 2 | 前のページ


パシフィック・クロッシング
KAELA
木村カエラ

COCP-32988 ¥3,000(税込、初回限定DVD付)

01.untie[album take]
02.You know you love me?
03.あの頃
04.happiness!!
05.INVENTOR
06.D.T.S.
07.Level 42[album take]
08.誰
09.Because
10.weak
11.Whatever are you looking for? [album take]
12.sola

PROFILE
昭和59年10月24日 生まれ
出身 東京都
身長 154cm
趣味 服をつくること ギター、ピアノ
14年から集英社「Seventeen」専属モデル
15年4月からtvk(テレビ神奈川)「saku saku」(サクサク)MCとし毎週月曜日〜金曜日あさ7:30〜7:58に出演中。(公式サイトから抜粋)
公式サイト
http://www.sma.co.jp/artist/kaela/
このページの上に戻る


すべての著作権は、産経新聞社に帰属します。
(産業経済新聞社・産経・サンケイ)
(C)2004.The Sankei Shimbun All rights reserved.