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花組「ファントム」制作発表
人間関係 より深く描く
平成18年3月7日(火) by ENAK
宝塚歌劇団は7日午後、東京都内のホテルで記者会見し、花組「ファントム」の制作を発表した。フランスの作家、ガストン・ルルーの小説「オペラ座の怪人」を舞台化したもので、多数ある舞台版のうちアーサー・コピット脚本、モーリー・イェストン作詞作曲による1991年初演の「ファントム」を中村一徳が潤色・演出。宝塚としては16年に宙組が初演している

記者会見に出席した真飛聖、桜乃彩音、春野寿美礼、彩吹真央(左から)=東京・新橋の第一ホテル東京
記者会見に出席した真飛聖、桜乃彩音、春野寿美礼、彩吹真央(左から)=東京・新橋の第一ホテル東京


宝塚大劇場で6月から、東京宝塚劇場で8月から上演予定で、桜乃彩音が娘役トップに就任した後の、いわゆる本公演での新トップコンビのお披露目になる。

この日発表された配役は、主人公のファントム(オペラ座に潜む怪人)にトップスター、春野寿美礼。オペラ歌手をめざすヒロイン、クリスティーヌ・ダーエに桜乃彩音。オペラ座の前支配人、ジェラルド・キャリエールに彩吹真央。クリスティーヌに恋をするフィリップ・ドゥ・シャンドン伯爵に真飛聖。

会見には春野ら4人の出演者のほか歌劇団の小林公一理事長、演出家の中村、協賛企業の三井住友カードの栗山道義社長が出席した。

春野によればポスターは「落陽のパレルモ」東京公演中に撮影された
春野によればポスターは「落陽のパレルモ」東京公演中に撮影された


会見では春野らが劇中歌「僕の悲劇を聞いてくれ〜ウィズアウト・ユア・ミュージック」「ユー・アー・ミュージック」「パリのメロディー」を披露した後、質疑応答が行われた。

演出の中村によると、宙組版の際は、あまり“宝塚的”ではないこの作品を、いかに宝塚らしくするかに腐心した。今回は、すでに物語の筋は宝塚ファンに認知されているという前提に立ち、登場人物の人間関係をより掘り下げて描きたいという。具体的にはファントムとクリスティーヌの師弟愛や“原作版”においてもあまり踏み込まれていないフィリップ伯爵とクリスティーヌの恋愛感情など。また、場面の転換などもより理論的なものにしたいとしており、深みをさらに増した作品となりそうだ。

「エリザベート」などのように、再演にあたって新しい歌が加わるかは未定。

昨年7月の専科の樹里咲穂のサヨナラショーで、樹里を相手に劇中歌「ユー・アー・マイ・オウン」を歌った際、イェストンの楽曲にひかれ、「全編通して歌えたらどんなにすばらしいかと思った」という春野は「私らしい役作りで、私らしいファントムを演じ、“花組の『ファントム』”を作り上げたい」と意欲満々に語った。

ファントムといえば、顔に負った傷とそれを隠すマスクが大きな特徴。この日使ったマスク2種類はあくまで会見用で、「傷もマスクも本番を観てのお楽しみ」と中村。宙組版の際は、フィナーレのショーの場面に支障のないよう、進行に伴って少しずつ傷のメークを薄くしていたというが、さて、今回はどのような傷になるのか。

うたい終えた4人


一方、14年初舞台ながら娘役トップとなった桜乃は、緊張気味に「未熟ですが、せいいっぱいがんばります」と語った。「彼女はダンサー」(中村)と踊りの評価が高いが、この日披露した春野との二重唱では美しい高音で、“聴かせる”舞台への期待を大いに高めた。

また、彩吹は「キャリエールは男役冥利(みょうり)に尽きる役で、幸せです。花組の『ファントム』を楽しんでいただけるようにがんばります」。真飛は「私らしい伯爵をすてきに演じられるようがんばります」とそれぞれ抱負を語った。彩吹は“老け”を分かりやすくするためひげをつけ白髪まじりになる予定。

宙組版も協賛し、これが協賛通算30作目になるという三井住友カードの栗山社長は「ぜひ『ファントム』を『ベルサイユのばら』『エリザベート』と並ぶ宝塚の3大名作としてほしい」とエールを送った。これを受けて小林理事長も「花組の力でどこまで盛り上がるか。いずれにしても『ファントム』は、歌劇団の財産だと考えています」と胸を張った。

こちらは会見後の懇親会での撮影=東京・新橋の第一ホテル東京
こちらは会見後の懇親会での撮影=東京・新橋の第一ホテル東京


宝塚大劇場公演は6月23日〜8月7日。東京宝塚劇場公演は8月25日〜10月1日の予定。チケットの発売は宝塚劇場公演が5月20日から。東京宝塚劇場公演が7月23日から。



会見記事 | 発言:出演者 | 発言:関係者


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公演詳細は公式サイトで

ファントム
19世紀後半のパリ・オペラ座通り。クリスティーヌ・ダーエ(桜乃彩音)が歌いながら新しい曲の楽譜を売っていた。群衆の中にいたシャンドン伯爵(真飛聖)は、彼女の声に魅せられる。オペラ座のパトロンのひとりである彼は、クリスティーヌがオペラ座で歌のレッスンを受けられるよう取りはからう。
そのオペラ座では、支配人キャリエール(彩吹真央)が解任され、新支配人のショレが妻でプリマドンナのカルロッタとともに迎え入れられる。キャリエールはこの劇場には“オペラ座の怪人”がすみついていると告げるが、ショレは気に留めない。
クリスティーヌがオペラ座を訪ねる。カルロッタはその若さと美しさをねたみ、自分の衣装係にしてしまう。それでもクリスティーヌはオペラ座にいられるだけで幸せだった。
ある日クリスティーヌの美しい歌声に聴き入る影がひとつ。オペラ座の怪人ファントム(春野寿美礼)だった。クリスティーヌに母の面影を重ねて歌の指導を始めるファントム。ついにヒロイン役を射止めるクリスティーヌだが、開演日に悲劇が起こる…。
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