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宝塚歴代スター集い記念公演「ひとつの節目」
演出家、植田紳爾 ネクストワン信じ走り続けた50年
 11月18日(土) by 平松澄子 photo by 大塚聡彦
「ネクストワン」。かの喜劇王チャールズ・チャプリンは「最高傑作は?」と聞かれると、必ずこう答えた。演出家生活50周年、今年1月の星組公演「ベルサイユのばら」で宝塚歌劇における作品が100本を数えた植田も、このチャプリンの言葉が好きだという。

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植田紳爾「50年もやってこられたのはホントに幸せです。ただガムシャラに前を向いて突っ走ってきたので、振り向いたことがなかった。どの作品も思い出があるし、100点満点と思ったことがない。まだ違う、まだ違うと反省することばっかり。そういう気持ちがある限り、この仕事をやり続けると思いますね」。創作意欲は衰えることがない。

OGや現役スターが大勢参加する記念スペシャル「夢のメモランダム〜植田紳爾・魂の軌跡〜」が、27日に宝塚大劇場で行われる。植田が「ぜひ、やりたい」とこだわったのは、デビュー作「舞い込んだ神様」(昭和32年12月)の再現。「じつは宝塚には“狂言もの”という大切なジャンルがあったのに、いつの間にかなくなってしまった。今の若い人たちに、こういうものもあったことを知ってほしい。のんびりとおおらかなムードの舞踊劇で、これだけはぼくが演出・振付をやります」

また、「舞三代」では「若柳吉紳吾」の名取り名を持つ植田が、長男の山村若(上方舞山村流宗家)と長女、孫2人の計5人で日舞を踊る。「日舞は高校、大学とお稽古(けいこ)して、宝塚に入ってから名取りになったんですが、山村流の娘と結婚した後は踊っていません。舞うのは約40年ぶりで、ましてや洋楽の伴奏では初めて。振りが覚えられるかどうか…。お恥ずかしいんですが、まぁ、みなさまに笑っていただけるかなと」

ほかに、100人の黒エンビ姿の男役が大階段で踊る「風と共に去りぬ」、50人の娘役によるコーラス、主題歌のメドレーなど、話題満載の舞台になりそうだ。

「歴史があるからこそ記録ができてくる。ひとつの節目として歴史の中に記録としてとどめるのはいいかなと思ってOKしたんですが…。近づいてくると落ち着かなくなりましたね」と苦笑した。

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次から次へとアイデアがあふれてくるような植田作品。“ネクストワン”の101本目は月組公演「パリの空よりも高く」(来年1月1日〜2月5日、宝塚大劇場)になる。菊田一夫原作「花咲く港」をモチーフに、19世紀後半のパリを舞台にした華やかなコメディーだ。

「お正月だから明るくて楽しい、ハートウォーミングな作品がいい。それに菊田先生は大作家で宝塚ともご縁が深いんですが、それを知っている人もだんだん少なくなっている。昭和に活躍した作家の作品を紹介することも、ぼくらの世代の大事な仕事かなと思うんですよ。偶然ですが、ぼくが宝塚へ入ったその年、その月に、小林一三翁(宝塚歌劇の創業者)が亡くなられた。何か深いご縁を感じますし、一生、宝塚でがんばらないと、と思っています」



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公演の詳細は公式サイトをご覧ください



うえだ・しんじ 宝塚歌劇団理事、特別顧問。昭和8年大阪府生まれ、神戸育ち。早稲田大学文学部演劇科卒。32年宝塚歌劇団入団。49年初演の「ベルサイユのばら」、続く「風と共に去りぬ」(52年初演)がともに大ヒットを記録し、空前の宝塚ブームを生み出した。ほかに「夜明けの序曲」「我が愛は山の彼方に」「白夜わが愛」など代表作多数。外部作品も。

平成8〜16年に歌劇団理事長をつとめ、5組目の宙組誕生、東京宝塚劇場新装開場に手腕を発揮した。8年紫綬褒章、16年旭日小緩章を受章。

「夢のメモランダム〜植田紳爾・魂の軌跡〜」は27日午後3時30分、7時の2回公演。松本悠里、轟悠(以上専科)、瀬奈じゅん(月組)、安蘭けい(星組)、貴城けい(宙組)ら現役スター158人とOGの鳳蘭、麻実れいらが出演。