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雪組「堕天使の涙」「タランテラ!」大劇場公演評
朝海、舞風の美しいダンス
10月24日(火) 大坂夕刊 by 平松澄子
雪組トップスター、朝海ひかるは、この世のものではない存在を演じるときに、不思議な魅力がいっそう際立つようだ。退団公演となった宝塚大劇場の2作品は、「堕天使」と「毒グモ」という宝塚歌劇では風変わりな役柄。どちらの作品も、同時に退団する娘役トップの舞風りらとの、軽やかで美しいダンスシーンがたっぷり楽しめる。

「堕天使の涙」(植田景子作・演出)は、神によって天上界から地獄へ追放された堕天使のルシファー(朝海)が、ダンサーとなって20世紀初頭のパリに現れ、人間の欲望や孤独を操って神に復讐(ふくしゅう)しようとするファンタジー。

オープニングの劇中劇「地獄のルシファー」や、ルシファーの住む青いバラが乱れ咲く庭園のシーンは、クールで妖(あや)しい魅力にあふれ、その後の展開に期待がふくらむ。そして秀逸なのが、盲目の元バレリーナ、リリス(舞風)が神へ召される前にルシファーと一緒に踊る「光のパ・ドゥ・ドゥ」。照明とスモークだけの舞台で踊る2人の姿は透明感があり、神々しい温かさに満ちて感動的だ。

しかし、新進気鋭の振付家ジャン・ポール・ドレ(水夏希)を中心に、彼と母親(五峰亜季=専科)との関係や、スランプに悩む音楽家(壮一帆)など周囲の人間たちのドラマが希薄。それぞれのシーンの見どころはあるのだが、物語として弱く尻つぼみで、散漫な印象になった。ラストにノエルの雪の中を去るルシファーの姿は、サヨナラを意識した演出で記憶に残る。

「タランテラ!」(荻田浩一作・演出)は、噛まれると“舞踏病”をもたらすという毒グモを主人公にした、ストーリー性のある耽美的なレビュー。舞台いっぱいに張られた“クモの巣”のセットが効果的で、場面の進行につれて消えていく。

スパニッシュ、ラテン、デュエット、群舞…とトップ・コンビは多様なスタイルで、本領発揮のメいっぱいのダンスを披露。恒例のラインダンスをさりげなく見せる手法も新鮮だ。30日まで。

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