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花組「明智小五郎の事件簿−黒蜥蜴」大劇場公演評
やるせないラブロマンス
   大阪夕刊 by 平松澄子
名探偵・明智小五郎と女賊・黒蜥蜴の虚々実々の知恵比べを描いた、江戸川乱歩原作「黒蜥蜴」。宝塚大劇場の花組公演「明智小五郎の事件簿−黒蜥蜴」(木村信司脚本・演出)は時代を昭和33年に繰り下げ、戦争で運命を狂わされた明智と黒蜥蜴の、やるせないラブロマンスを際立たせるリメークになった。

黒蜥蜴宝石商の娘を誘拐して高価な宝石を狙う黒蜥蜴(桜乃彩音)と、その企みを阻止しようとする明智(春野寿美礼)。ストーリー展開はほぼ原作と同じだが、したたかな熟女のイメージが強い黒蜥蜴を、20歳そこそこの純粋な“少女”としたことで、物語のテイストがガラリと変わった。

明智が戦争孤児の少年たちで探偵団を組織しているのに対して、黒蜥蜴は少女たちを救済してアジトの楽園で暮らす。そのための資金を金持ちから巻き上げているという解釈。追いつ追われつの過程でふたりは互いの愛を確認し合うが、意外な出生が明らかになり衝撃の結末を迎える…。

背中に黒いトカゲの入れ墨を描いた桜乃は、大人っぽいセクシーな美しさ。けだるさを漂わす春野は、憂愁の探偵の感。ただ、乱歩作品特有の妖しさや不気味さはなく、宝塚的なゴージャスさも控えめ。戦争の不条理さを盛り込んだ木村演出だが、もはや戦後ではなくなった時代設定と黒蜥蜴の処女性を強調したことに、いささかの無理を感じた。

「TUXEDO JAZZ」(荻田浩一作・演出)は、1920〜50年代の古きよきニューヨークを舞台にした全編ジャズで綴るショー。よどみのない荻田作品にはやはり、矢代鴻(専科)のインパクトある歌声は欠かせない。恒例のロケットをタップで見せる趣向が新鮮だ。

19日まで。

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