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芸術に遊び、暮らし…
タカラヅカの聖地をぶらりと歩いてみた
2008/4/21
産経新聞大阪夕刊 by 林佳代子
歌劇の街−。兵庫県宝塚市は、宝塚歌劇ファンの「聖地」のイメージが強いが、それだけではない。市の中心部を流れる武庫川沿いには、室町時代からの歴史を持つ温泉や、マンガ界の巨匠、手塚治虫さんの記念館などが点在。平成７年の阪神大震災後にマンション建設が相次ぐなど、関西圏の「住みたい街」ランキングの常連にもなっている。芸術に遊び、暮らし…。さまざまな顔を持つ街・宝塚を散策した。
歴史は室町時代にさかのぼる。当時は冷泉で、明治１９年に温泉として本格的に開発された。梅田〜宝塚間に鉄道が開通すると、にぎわいが一気に広がった。
宿泊客のピークは大阪万博が行われた昭和４５年。大阪や神戸に近い温泉地として多くの観光客を集め、年間約１３０万人が訪れたという。
しかしレジャーの多様化などでその後次第に宿泊客は減少。約５０館あった旅館は平成に入ると約１０館になり、平成７年の阪神大震災では、被害を受けた旅館が次々に閉館。いまや温泉街はなく、残る旅館は昭和２６年創業の老舗旅館「ホテル若水」だけになっている。
ホテル若水の小出道夫営業部長（５８）は「現在、宝塚は歌劇の街と呼ばれているが、かつて栄えた湯の街をもう一度復活させたい」と話す。その兆しもある。１４年に市立温泉としてオープンし、１６年に民間運営となった複合温泉施設「ナチュールスパ宝塚」は大人気で、週末には、多くの家族連れや歌劇ファンが日帰りで楽しんでいる。
通りの長さは約４００メートル。左右に約１００本のサクラが植えられ、道沿いには「ベルサイユのばら」など歌劇にちなんだブロンズ像。歌劇の前身「宝塚唱歌隊」を創設した阪急電鉄創始者、小林一三氏の像もある。
９０年以上の歴史を誇る宝塚歌劇は約４５０人の団員を抱え、５つの組が大劇場などで通年公演を行う。街のいたるところにタカラジェンヌのポスターが張られ、「夢」や「乙女」などの文字…。歌劇とともに歩む街を強く意識させる。
大劇場、そしてタカラジェンヌを養成する宝塚音楽学校を通り過ぎ、さらに少し進むと、宝塚が生んだ漫画家、手塚治虫さんの記念館にたどり着く。手塚さんは歌劇の大ファンで、代表作「リボンの騎士」は歌劇の影響を受けて描かれた。
平成１５年４月に遊園地「宝塚ファミリーランド」が閉園。宝塚の年間観光客はピーク時の約１２００万人から約９００万人に減少した。しかし同ランド跡地に英国風庭園「宝塚ガーデンフィールズ」ができるなど、新たな魅力を発信し続けている。
めざせ「湯の街」復活
武庫川をはさみ、宝塚大劇場の対岸に宝塚温泉がある。
歴史は室町時代にさかのぼる。当時は冷泉で、明治１９年に温泉として本格的に開発された。梅田〜宝塚間に鉄道が開通すると、にぎわいが一気に広がった。
宿泊客のピークは大阪万博が行われた昭和４５年。大阪や神戸に近い温泉地として多くの観光客を集め、年間約１３０万人が訪れたという。
しかしレジャーの多様化などでその後次第に宿泊客は減少。約５０館あった旅館は平成に入ると約１０館になり、平成７年の阪神大震災では、被害を受けた旅館が次々に閉館。いまや温泉街はなく、残る旅館は昭和２６年創業の老舗旅館「ホテル若水」だけになっている。
ホテル若水の小出道夫営業部長（５８）は「現在、宝塚は歌劇の街と呼ばれているが、かつて栄えた湯の街をもう一度復活させたい」と話す。その兆しもある。１４年に市立温泉としてオープンし、１６年に民間運営となった複合温泉施設「ナチュールスパ宝塚」は大人気で、週末には、多くの家族連れや歌劇ファンが日帰りで楽しんでいる。
「夢」や「乙女」に彩ら
阪急宝塚駅を降りて、線路沿いを南東に向かう。しばらく歩くと、オレンジの瓦屋根に白い外壁の宝塚大劇場が見えてくる。大劇場までを結ぶ「花のみち」は宝塚観光のメーンストリートだ。
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| １年を通して四季折々の花が咲く「花のみち」。タカラジェンヌや音楽学校の生徒らが歩く姿もみられる |
通りの長さは約４００メートル。左右に約１００本のサクラが植えられ、道沿いには「ベルサイユのばら」など歌劇にちなんだブロンズ像。歌劇の前身「宝塚唱歌隊」を創設した阪急電鉄創始者、小林一三氏の像もある。
９０年以上の歴史を誇る宝塚歌劇は約４５０人の団員を抱え、５つの組が大劇場などで通年公演を行う。街のいたるところにタカラジェンヌのポスターが張られ、「夢」や「乙女」などの文字…。歌劇とともに歩む街を強く意識させる。
大劇場、そしてタカラジェンヌを養成する宝塚音楽学校を通り過ぎ、さらに少し進むと、宝塚が生んだ漫画家、手塚治虫さんの記念館にたどり着く。手塚さんは歌劇の大ファンで、代表作「リボンの騎士」は歌劇の影響を受けて描かれた。
平成１５年４月に遊園地「宝塚ファミリーランド」が閉園。宝塚の年間観光客はピーク時の約１２００万人から約９００万人に減少した。しかし同ランド跡地に英国風庭園「宝塚ガーデンフィールズ」ができるなど、新たな魅力を発信し続けている。
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ナチュールスパ宝塚
宝塚温泉の老舗旅館だった「水明館」跡地に建つ複合温泉施設。フロアごとに天然温泉やエステ、岩盤浴などを楽しめる。水着着用の露天ジャグジーや温水プール（女性限定）もあり、歌劇終演後に立ち寄る女性客も多い。近代的な建物は建築家の安藤忠雄さんが設計した。営業時間は午前１０時〜午後１０時。第３火曜日が定休日。料金は男性８００円、女性１０００円、子供（小学生）５００円。ＴＥＬ０７９７・８４・７９９３。
宝塚音楽学校
タカラジェンヌを養成する２年制の学校。養成は当初、歌劇団内の宝塚音楽歌劇学校で行っていたが、昭和１４年に宝塚音楽舞踊学校と改め、歌劇団と分離。同２１年に現在の校名に改称した。１年目は予科、２年目は本科と呼ばれ、声楽やバレエ、日本舞踊など、舞台で必要な技能を学ぶ。受験資格は満１５〜１８歳の女子で、容姿端麗で歌劇団の舞台人に適する者。競争率２０倍前後の難関として知られる。
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| １年を通して四季折々の花が咲く「花のみち」。タカラジェンヌや音楽学校の生徒らが歩く姿もみられる |
ＰＯＰＰＹ
宝塚大劇場近くにあり、タカラジェンヌ御用達の喫茶店。名物はイチゴジュース（Ｌサイズ６００円、Ｍサイズ５００円）で、「多い時には１日１００以上の注文が入る」と店主の木村久美子さん（６０）。東京公演の際には取り寄せ注文が入るほどの人気だ。ジュースは、イチゴと牛乳などを原料にシャーベット状に仕上げる。午前１１時〜午後６時。水曜定休。ＴＥＬ０７９７・８１・０７００。
宝塚ガーデンフィールズ
平成１５年９月、宝塚ファミリーランド跡地にできた自然を満喫できるスポット。英国人デザイナーによる英国風庭園と約５０頭の犬と触れ合える「ペット・パーク」がある。庭園は約９０００平方メートルで、宿根草や多年草がメーンに植えられている。ペット・パークには愛犬を遊ばせることができるスペースも。営業時間は午前１０〜午後５時半。水曜休業（春季、祝日は営業）。ＴＥＬ０７９７・８５・６２１０。
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| 家族連れでにぎわう「宝塚ガーデンフィールズ」内のペット・パーク |
宝塚市立手塚治虫記念館
「鉄腕アトム」などで知られ、５歳から２４歳までを宝塚で過ごした漫画家、手塚治虫さんゆかりの品を集めたミュージアム。愛用のベレー帽や「ジャングル大帝」の下書きなど３３６点を常設展示。現在は手塚さんの生誕８０周年を記念し、絶筆や未完の直筆原稿を集めた「永遠の物語展」を開催。入場料は大人５００円、中・高校生３００円、小学生１００円。水曜休館。ＴＥＬ０７９７・８１・２９７０。
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