第2希望の芸名だったとか。
「好きな字を並べて家族で考えたんです。語呂がいいし、字の並び具合もよかったので」
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組長を務める芝居巧者のベテラン男役。宝塚大劇場で現在上演中の「黎明の風」では定年間近の実直な政府職員、近藤文男を演じている。
「実在の人物ではなく、石田先生(昌也=演出家)が当て書きしてくださったんです。地味でコツコツ目の前のことに一生懸命向かう点が、少し私とかぶるかもしれません」
レビュー「Passion 愛の旅」では、砂漠の薔薇のシーンの怪しい道化役がお気に入りという。
「轟さん(悠=専科トップ)と絡ませていただくこともありますが、私は上級生になってからヒゲのある役がほとんど。でも今回は近藤さんはヒゲがなく、あるのはこの役だけなんです。自分としてはあるほうがかえって、しっくり落ち着くんですよ」
残念ながら同公演を最後に退団する(東京公演千秋楽の5月18日付)。
「前回の『バレンシアの熱い花』でレオン将軍という、自分にとっては目指していた男役の集大成のような役をやらせていただいて、もう十分と思ったんです」と決意したそうだ。
小学3年の時に「風と共に去りぬ」(安奈淳主演)を見て衝撃を受け、受験のためのレッスンを始めて、2回目の高校1年終了時に合格。「キス・ミー・ケイト」で初舞台を踏み、月組に配属される。
「音楽学校時代は演劇が一番苦手でしたが、自分のキャラクターを生かした芝居の楽しさに目覚めました」
平成10年雪組に組替え。「びっくりしましたが、そのときのトップが轟さんでした。自分の力を試せる場所でしたね」。14年に宙組に組替えになり、17年に組長に就任した。
「副組長を経験せず、いきなりだったんで衝撃でした。目の前の1日1日を過ごすことに必死で、今に至るって感じ。宝塚は青春のすべて、大切な場所ですね」
退団後は何も決まっていないそうだが、「何かお芝居にかかわっていけたらいいかなとは思っています」。
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昭和63年入団 東京都出身。