雪組 音月桂に聞く
男役11年めにかける
2008/1/1 産経新聞大阪特別紙面
by 平松澄子
「男役10年の節目だった昨年は、幅広くいろんなことが経験できた“濃い年”でした。11年目になる今年は、またリセットして、初心に戻る感じがしますね」

華やかな笑顔がはじけた。
現代的でキュートな容姿から、明るくさわやかな好青年の役が多かったが、昨年は念願だった人気ミュージカル「エリザベート」の暗殺犯ルキーニ役、幕末の新撰組をテーマにした全国ツアー「星影の人」の土方歳三(ひじかた・としぞう)役など、暗く影のある個性的な役にも挑戦して、新境地をみせた。
今年は元日から、宝塚大劇場公演に出演中。パリを舞台にしたラブ・ロマンス「君を愛してる」ではまた、得意とする誰からも愛される好青年フィラントを演じる。
「昨年はそれまで自分の引き出しにないキャラクターをやらせていただいて、壁にぶつかったり、新しい発見をしたりしました。それをベースに、同じキャピキャピした役でも、ひと味違うスパイスのきいた感じで表現したいですね」。さらにワンランクアップを意識している。
舞台以外でも、トップの水夏希(みず・なつき)を中心にした雪組男役スター5人によるグループ「AQUA5(アクアファイブ)」の一員として、CDを出すなど、昨年は活動の場も広がった。大劇場公演のショー「ミロワール」ではそのCDの収録曲もアレンジして歌う。「宝塚らしいショーの中に、新しい風が違和感なく含まれて、とてもいい雰囲気なんです」
さらに今年からは、VISAカードのイメージキャラクターをつとめることになった。愛華(あいか)みれ、春野寿美礼(はるの・すみれ)に続く3代目で、前任者はいずれもトップへのぼりつめている。
「プレッシャーですが、幸せですね。立場も上級生になったので、どれもこれも中途半端にならないように、しっかりしなくちゃ。男役は宝塚でしかできない。外見だけでなく、内面からにじみ出る男役を思いっきり楽しみたいですね。そして、先輩方から受け継いだ伝統を、今度は下級生たちに責任をもって伝えていくことが大事だと思っています」
自覚十分の顔が、キリッと引き締まった。
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