雪組　凰稀かなめ　宝塚バウホール３０周年記念公演　「凍てついた明日」

重圧越え　感性磨きたい

2008/5/21 　産経新聞大阪夕刊　 by 平松澄子

宝塚バウホールが開場して今年で３０年。その記念としてバウで生まれた名作をリメークした作品が、年初から５組で次々に上演されている。いずれも若手出演者が主演コンビを変え、２グループで公演するスタイルのワークショップだ。その中で２４日初日の雪組「凍てついた明日〜ボニー＆クライドとの邂逅〜」だけは美形のホープ、凰稀かなめが１人で主演をつとめ、期待の大きさがうかがえる。

「凍てついた明日」（荻田浩一作・演出）は、映画「俺たちに明日はない」で知られる、２０世紀初頭のアメリカに実在した男女２人組のギャングの物語。彼らの鮮烈な生きざまを、フィクション部分をふくらませてショーアップし、１９９８年に香寿たつき、月影瞳の主演コンビで上演して高く評価された。

今回は主人公のクライド・バロウ役を凰稀が演じるほか、ヒロインのボニー・パーカー役はＡグループが愛原実花（２４日〜６月３日）、Ｂグループは大月さゆ（６月１２〜２２日）がつとめる。

「通しで主演するプレッシャーは大きいです」と凰稀は固い表情。２０００年に入団して、１７３センチのスリムな長身と端正なマスクで人気上昇中。雪組の男役ユニット「ＡＱＵＡ５」のメンバーでもあり、バウの主演は「Ｙｏｕｎｇ　Ｂｌｏｏｄｓ！」（０６年）に次いで２度目になる。

「初演は見ていないんですが、ダンス部分はすっかり変わりました。ＡとＢ同時進行でお稽古（けいこ）しているので、すごい時間がかかる。でも、相手役が変わると芝居のやり方も違うし、おもしろい。どちらも見て違いを感じてほしい」

クライドに関しては、「実在の方ですが、細かい部分はわからない。言ってることと思ってることが違うので表現の仕方が難しいし、銃も扱いが難しい」と苦闘中のようだ。

新人公演は卒業して、次のステップアップを目指す公演になるが、「課題はありすぎて、すべてが勉強。いろんなことをいっぱい見聞きしてセンスを磨きたい」という。

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“バウ（ＢＯＷ）”は船のへさきの意味。５００席の小劇場で、新たなスターやスタッフの養成という役割を担って、１９７８年に開場した。

３０周年記念公演は当初のコンセプトに立ち返り、若手出演者の育成が主眼。これまで、月組「ホフマン物語」は明日海りおと青樹泉が主演、花組「蒼いくちづけ」は真野すがたと朝夏まなと、星組「アンナ・カレーニナ」は夢乃聖夏と麻尋しゅん…と３組上演した。雪組のあと６月２８日初日の星組「殉情」も、早霧せいなと蓮水ゆうやの２人がそれぞれ主演する。　

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