レオがなぜ、ドン・ファンになったのか。その理由は古い友達であるロドルフォだけが知っている。マリー。それは、レオがただ一度だけ愛した女性だった。栗色の髪、琥珀色の瞳の持ち主。そして将来を嘱望されたバレエダンサーだった。だが、レオはそんないとしい女性を捨てた。1通の脅迫状が原因だった。実は、レオは貴族の正当な血筋ではなかった。「マリーと別れなければ、貴族ではないことを世間にばらす」。そんな脅迫状が送られてきて、若いレオはその脅しに屈してマリーから離れたのだった。以来、レオは本気で女性を愛したことがない。そして、また、レオのもとに脅迫状が送られ始めたのだ。いったい、だれが、なんのために…?