宝塚歌劇の4月の月組公演「シニョール ドン・ファン」は、イタリア・ミラノのファッション業界を舞台に、プレーボーイのトップデザイナー、レオ・ヴィスコンティ(紫吹淳)をめぐる恋模様を、おしゃれな感覚で描く現代版ドン・ファン物語。その舞台衣装をファッションデザイナーのコシノヒロコが初めて担当するのも話題だ。
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「シニョール ドン・ファン」の制作発表に出席したコシノヒロコ、紫吹淳、映美くらら(左から)=大阪市内のホテル |
きっかけは「日本の美をめでる」
コシノと宝塚歌劇のコラボレーションは、昨秋に大阪・サンケイホールで開催された「OSAKA FASHION ENERGY 2002〜日本の美を愛でる〜」がきっかけ。コシノデザインの斬新な和服を、月組トップ・コンビの紫吹と映美くらら、大空祐飛ら7人のタカラジェンヌが着て、和のファッションステージを繰り広げた。その過程で紫吹が「次の公演では先生の舞台衣装が着たい」と頼んで実現したのだという。
「私は新しいもの、進化していくものが好きなんですが、先生も同じような考えをお持ちなので、インスピレーションを感じてお願いしました。和のファッションステージでは日本の美しさを改めて実感しましたが、89年になる宝塚の歴史に、先生の新しい風を吹き込んでもらえたら」と紫吹。
「すばらしいお衣装を着させてもらえるので、すごくうれしいです」と映美。
宝塚ファンのコシノヒロコ
コシノは春日野八千代が活躍していたころからの宝塚ファンだそうで、「紫吹さんの舞台を久しぶりに見て、その美しさにまたハマってしまいました。宝塚の華やかさ、よさを十分認識したうえで、新しい現代性をどれくらい表現できるか。男性にはないミステリアスな魅力を持つ男役の服を、私の感性で作ってみたい、と思ったんです。宝塚は世界に通用する関西の誇れる財産。関西を拠点にしている私がやらなくて、誰がやるんだって」と熱く語った。
舞台はファッションショーのシーンから幕開けになる。コシノは紫吹の衣装を中心に約30点を新調するほか、これまでのコレクションの作品を加えて計130余点を、アクセサリーなどのコーディネートも含めて提供するそうだ。
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披露された舞台衣装 |
作・演出を担当する植田景子は「衣装をトータルでコシノさんにお願いすることで、これまでと少し違ったビジュアルになるのではと期待して、お芝居に“ニュー・ミュージカル”という冠をつけました。ただ、フィナーレと恒例の初舞台生のラインダンスは従来通りの衣装になります」と話している。
「シニョール ドン・ファン」は、宝塚舞踊詩「花の宝塚風土記−春の踊り−」(酒井澄夫作・演出)と2本立てで、4月4日−5月19日に宝塚大劇場で公演される。