東京・銀座で「心震える喜び」
轟悠 個展「心の旅」始まる
宝塚歌劇団専科の轟悠の絵の個展「心の旅」が12日午前から、東京・銀座の田崎真珠銀座店8階タサキホールIIで始まった。
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お気に入りの「コルシカの夏」の前に立ち、「夢がかなってうれしい」と語る轟悠=東京・銀座 |
日本とは異なる光が絵心を誘うというパリの風景などを描いた油絵30点、デッサン画8点を展示。
轟は2、3歳のころから絵を習い始め、小学生のときに早くも油絵に取り組んだという。宝塚との出合いで絵筆をとることはなくなっていたが、平成14年に雪組トップスターから専科に異動し、定期公演がなくなったのに伴い、従来よりも自分の時間ができたことから再びキャンバスに向かうようになった。「約20年ぶり」と本人はいう。
初日のこの日は、午前11時の開場を前に会場で轟が記者会見。「夢のひとつだった個展を開催できて身震いするほどうれしい。キャンバスに向かうのは舞台に立つのとは違う喜び、違う自分を発見できる貴重な時間」と笑顔で語った。
その後、会場入り口付近で入場客を出迎えるなど、ふだんの堂々たる男役スターぶりとは異なる、“新人画家”としての初々しさものぞかせた。
轟は花組公演「野風の笛」「レヴュー誕生」(5月23日−7月7日=宝塚大劇場、8月8日−9月14日=東京宝塚劇場)に特別出演する。今後は舞台に没頭することになるが、画材は常にそばにおいておき、描きたくなったら筆をとるつもりだという。約20年ぶりにとった絵筆は、自分がより自分らしくいられるための大きな武器になるようだ。
15日まで。毎日午前11時から午後7時まで(15日のみ午後5時まで)。無料。問い合わせは03-3289-1111。
17日からは大阪・ホテル阪急インターナショナルで(19日まで)。
轟悠●会見 一問一答
夢のひとつでした個展が開催できて身震いするぐらいうれしいです。舞台と違ってひとりでキャンバスに向かうわけですが、知らぬ間に鼻歌が出て、笑顔になっている自分に気づきます。舞台の轟とは違った自分を発見する、貴重な時間でした。絵は小さなころから習っていたのですが、約20年ぶりに絵筆を手にしました。展示作品は大好きなパリの風景を中心に選びましたので、上手に描けているかどうかより、雰囲気を楽しんでいただければ幸いです。
−−絵はいつごろから描いているのか?
記憶にないころからクレヨンを手にしていたということですから、2、3歳のころでしょう。わが家は母と3人の兄弟全員が絵を習っていました。水彩画から始め、小学生のころに油絵を勧められて始めました。大人の仲間入りをした喜びがありましたね。二科展を目指したころもありましたが、宝塚と出合ってからはデッサン画をたまに描くぐらいになっていました。
−−展示作品について
私の思い出です。記憶の中の風景を描きました。ですから、「心の旅」というタイトルに。今回の個展をやらせていただけるというお話をいただく前から描き始めていたのですが、個展をやるとなれば人様にお見せできる作品でなくてはと、個展に向けて改めて描いたものが多いのですが、今となってはこうしておけばよかったかなと、自分ではあら探しばかりしちゃいますね。
−−20年ぶりに絵筆をとった理由は?
専科に入って自分の時間ができたからです。去年は東京での公演(「風と共に去りぬ」)はあったとはいえ、それまでよりは時間ができましたので、それならば遠ざかっていた油絵を描こうと。専科に入らなければ、絵筆を再びとることはなかったと思います。
−−静物画が多いが
人物画は怖くて描けません。人様の顔を描いて文句をいわれたりしたら、どうしようかと思ってしまいます。自画像ぐらいならいいかなと思っています。風景画は、こういうのもなんですが、「嘘」が描けるのです。実際の風景に私が感じたものを混ぜて描いています。パリは光が日本と違って、描きたいと思わせます。素人の趣味の延長としてとらえていただきたいです。本当に描いていると心が和むのです。
−−犬の絵があるが
あれは知り合いの方の犬です。私にとって犬はつらいときに励ましてくれる存在。ペットショップにいっては「かわいい!」っていっているんですよ。
−−お気に入りの絵は?
私の後ろにある、これ(「コルシカの夏」)とか、「聖天」「雨情」…などは、自分では気に入っていますが、絵はごらんになる方それぞれのご趣味もあるでしょうから…。
−−絵はいつ描くのか
お昼の休憩をはさんで、朝の9時から夕方の6時まで−−とスケジュールをたてています。本当に楽しくてしょうがないです。ひとつを描いているうちに次々と描きたくなって、同時に2、3作を描いたこともあります。描いていると舞台とはまた違う幸せを感じられます。
−−絵を買いたいファンもいるのでは
販売はしません。お売りできるようなものでもないですし。
−−今後も描くのか?
個展が終わると花組大劇場公演が待っていますので、多分、そちらに没頭することになると思いますが、いつでも描けるように画材はそろえておくつもりです。自分に絵が必要だと感じたら描いているでしょう。