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星組トップスター、香寿たつき さよなら公演千秋楽
記者会見全文

皆様、本日はお忙しい中、まことにありがとうございました。本当に今、最後の舞台を終え、退団のセレモニーも終えてここに来ました。向こう(宝塚大劇場でサヨナラ)でも言ったのですが、実感がなくて。 改めて舞台の上であいさつをしたときに、感極まってしまって、ちょっと泣いちゃったんですけど、きっと何日かしたら、「あー、本当に辞めちゃったんだな」という思いが込み上げてきて、今以上に寂しくなるのではと、思っています。

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劇場内で退団会見に臨む香寿たつき=東京宝塚劇場(撮影・高橋朋彦)


私にとっての17年間は、山あり谷あり、色々でこぼこ道を走ってきましたけれど、星組のトップスターにならしていただき、本当に幸せでした。先ほど、あいさつでも述べさせていただきましたが、幸せなこのときに、何か次のステップをみつけたいなあと考えていたわけではなく、自分なりにここでピリオドを打って新たな目標に向かったほうがいいんじゃないかなと思いましたので、退団になったんです。

今は17年間の生活の充実感、今日の舞台を終えた充実感と興奮でいっっぱいなんですけど、これからは1日1日、寂しさを感じながらまた新たな次の世界に向かって頑張っていきたいと思っています。

−−後輩たちに贈る言葉を

私は「3拍子そろっている」とか、「優等生」とか、そういうふうに言われ続けてきたのですが、自分としては決してそんなわけではなくて、芸事が好きで、頑張ること、自分に挑戦していくことが大好きだったのだと思っています。踊りしかやったことがなかった私が、歌ったり、芝居したりすることも1つ1つクリアしてここまでやってこれたのです。本当に宝塚が大好きで入ってきたのだったら、舞台に全身全霊で臨む。そうすれば、スターになれるなれない、在籍期間が長い短いにかかわらず、宝塚における人生の充実した時間を得られると思います。1日1日を大切に。難しいとは思うけど、宝塚が好きだという気持ちを持ち続けて、歌・踊り・芝居と3つがんばって。宝塚の華やかさを失わず、品位を保ち、100周年に向かって歩いていってほしいなあと思います。

−−17年間でいちばんうれしかったこと、つらかったことは?

どれがいちばんとはいえないのですけど、私はご存知のように組替えが非常に多かったですね。精神的な面でつらかったのは、初めての組替えでしょうか。すごいカルチャーショックでした。うれしかったことは…初めて新人公演の主役になったときは単純に「うれしい」という気持ちでした。上級生になって、いろんなことを経験した上でのトップスター就任は、「重み」のうれしさでした。

−−最後のあいさつで感極まって涙を流されていましたが、涙の一番の要因は?

こんなに幸せな気持ちで宝塚を卒業できる自分っていうのは、やっぱり応援してくださった皆さん、先生たち、劇場スタッフの皆さん…のおかげ。向こう(宝塚大劇場)のサヨナラのときもそうだったのですが、私が外でパレードするときにスタッフのみなさんが、私の知らない間にスモークをたいてくれたりですとか。オーケストラの方もそうですし、皆さん、本当に温かい。宝塚だけだと思うんですよ、舞台のセット、照明、オケも皆で作りあげるのは。私たちは舞台に上がるだけですけど、見えないところで、大勢の人が支えている。そのすべての中で自分がトップとして立たせてもらえることのうれしさというか。途中であきらめて、「宝塚はもういい」と見切りをつけて辞めていたら、こんなふうに宝塚の温かさを実感して退団する ことはできなかったと思います。もう、こういう温かいところで過ごすことはないんだな、お客様の拍手とかアットホームな劇場の雰囲気を味わうことはないんだなと思うと、ちょっと寂しくなったりするので…。

−−これまで応援してきたご両親や地元・北海道のファンたちにひとこと

時々、札幌に帰ると、本当の自分というか、両親の1人の娘であったり、同級生がいたり、バレエのお友達がいたり、そういう生活を思い出させられる場。宝塚の香寿たつきとして生活している私にとって、北海道で過ごす期間が息抜きであったり、パワーの源であったり、ああ、私はここで育ったんだな、ふるさとっていいなと思える場所でした。“心のふるさ”とは宝塚になりましたが、いつも本当の意味のふるさとで北海道っていうのは、私にとって大切なものなので、皆様に感謝しております。

−−ご両親がご観劇されていたと思うのですが

母はいつも涙もろくて。退団すると決めてから、宝塚大劇場での公演でも会ったのですが、話をするだけで涙を流すぐらいなので、一番寂しがってるというか…。わが娘ながら、がんばってよくここまで来たなあという気持ちだと思うのですが。母が泣くのを見ると私も泣いてしまいそうなので、座席の場所は分かっていたのですが、銀橋に行ったとき、あえてそちらは見ないようにしましたし、見たのは大階段の上から。ちょうど照明の関係でシルエットでしか分かりませんし。きっと両親は泣いていたと思います。

−−今後、「天翔ける風に」を皮切りに女優として活動しますが

宝塚を今日卒業して、次の舞台は幸いなことに、在団中に(外部)出演した「天翔ける風に」という作品です。再演という形なのですが、今度は宝塚の生徒として出演するのではないので。1度目に大好評を得たので再演するプレッシャーとか、自分なりに改めてビデオとかを見たときに、私はこの程度しかできていなかったんだなと反省することもいっぱいあるので、宝塚の男役の香寿たつきではなく、今度は役者として香寿たつきが演じる役を深めていきたいなと思っています。 




sumire memo
3月23日(日)
text by 田窪桜子
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OG情報 演劇一般のほうに掲載
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