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ウェーブ産経事務局インタビュー
日本の春 春野寿美礼さんに聞く

春野寿美礼
芸名は万葉集から
芸名の話ですか? やっぱり!。

宝塚の芸名って、音楽学校本科の夏休みの宿題で、休み明けに提出するんです。歌劇団に回され、OKなら採用になります。

私の場合、叔母さんが考えてくれました。万葉集の山部赤人の歌から取ったものです。

〈春の野に すみれ摘みにと 来(こ)しわれそ 野を懐かしみ 一夜寝にける〉

「ちょっと古風かなぁ」と思ったんですが、こちらからお願いしたことだし、いやともいえない。当時、春野っていう先輩もいらしたので、「どうせ通らないんだし、いいや」って、そのまま出したら通っちゃったんです。

すると「すごい芸名をつけた子がいる」「どんな娘役さんなの?」って話題になって…。でも、ご覧のとおりの男役ですから、何よそれって(笑)。先に名前とイメージが先走ってしまったので、負けないように頑張ろうと思いました。

風情ある日本物
どちらかというと、日本物の演目が好き。風情があって、舞台に独特の雰囲気が流れて、面白いですね。宝塚というと洋風のイメージですけど、歌舞伎物や王朝物、武士物もよく演じているんですよ。

洋物をやっている時は、気持ちが軽くなる。西洋人は軽やかな雰囲気で演じていますが、日本人って、重心がずっしりと落ちますね。身ぶり手ぶりを少なくして、それでもメッセージを伝えていかなきゃいけない。

もちろん「拙者は…」なんて時代じゃないし、みんな洋服を着て椅子に座り、西洋人的な生活を送っているんですが、そこは血を引いてるというか、役柄は感覚や匂いでキャッチできますね。

裸の心を見せたい
舞台に立つと、歌でも芝居でも踊りでも、いらないものを削ぎ落としていくことを考えています。シンプルなメッセージでも、鎧(よろい)を着すぎていると、心が表に出てこない。『裸の心』を見せたい、と。

芝居をやっていて一番楽しいのは、作品をみんなで作っているとき。どんどん形が出来上がっていくのがうれしいし、楽しい。これでいいと思ってはいけないし、完成することは永遠にないでしょうけど。

春の装いですか? 気持ちが明るくなるように、パステル系の華やかな色のものとかを着たいですね。え、スカート? オフでも絶対ないです。慣れてないからパンツのほうが楽。はいたら、すっごく疲れるでしょうね。



この記事は、産経新聞のファン組織であるウエーブ産経事務局が「日本の春」をテーマにして行ったインタビューのひとつです。

sumire memo
3月22日(土)東京朝刊
interview by 篠原知存
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OG情報 演劇一般のほうに掲載
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