−−宙組「傭兵(ようへい)ピエール」で傭兵の副官、トマを演じています。
この直前まで外部出演で女性の役でしたが、不思議なことに男役に戻ると頬(ほお)が締まって、体に筋肉がついてくるんですよ。
−−トマの人物像は
トマは頭が切れてしっかりしているけれど、時々ぼそっと面白いことを言う。傭兵仲間のロベール(水夏希)は“軽く”て女たらし。主役の指揮官、ピエール(和央ようか)と、それぞれが全く違う“キャラクターの三角形”がつくれたらいいのではないかと考え、演じています。「ルートヴィヒII世」で演じたディルクハイム役に近いですかね。ピエールもヒロインのジャンヌ・ダルク(花總まり)も案外、照れ屋さん。物語の最後にピエールのためにひと芝居うつところがでてきますが、これは、そんな2人のためにトマがシナリオを書いたのではないか、なんて考えますね。つまり、そういう人物です。
−−退団公演になります
私はこの舞台で宝塚を卒業します。ショーの「満天星大夜總会」では、スーツにソフト帽やエンビ服など、男役のいろいろな姿をお見せできます。とくに白い軍服は初めてなのでうれしいですね。
−−伊織さんにとって男役とは
男役は格好つけてなんぼの世界。どれだけ“キザれる”かが大事。最後に大階段に黒エンビ(の男役が勢いする)の場面があります。入団1年目のときに同じような場面があり、あのころはなつめさん(先輩、大浦みずきの愛称)のような男役の踊りを−−と憧(あこが)れながら端っこで踊っていました。そんなことを思い出します。男役は目線や、ポーズからポーズへの間(ま)も重要。今回は真ん中の位置で踊りますが、なつめさん、ヤンさん(先輩、安寿ミラの愛称)らに教えていただいた男役の伝統を伝えることで少しでも役に立ちたいですね。
−−それに続くデュエットダンスの場面では歌を
最後の「別れの歌手」の場面。ここはお客さまへの感謝を込めて(公演の)1回1回を大切に歌っています。もう何回も、歌いながらウルッときてしまって…。
−−退団後は?
舞台は好きなので退団後も機会があれば続けていきたいとは思いますが、今は男役をまっとうするので精いっぱい。最後まで、男役らしさを大事に燃え尽きたいと思います。
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