さて、芝居が終わって幕が再度上がったとき、舞台にいるのはバンドだけです。今回の舞台では、オーケストラボックスがありません。そこを逆手にとって、バンドは舞台の奥に位置し、ときには映画の音楽を担当するオーケストラの役回りを与えられたりします。
そして、この場面だけはバンドが、すっかり見える状態で登場するのです。バンドが主人公です。お芝居のクライマックスをみていると「なるほどねえ」とこのいきな演出にはうなずけるのです。つまり、ヒロインのキャシーはリナの後ろの幕の後ろで歌っていて、それがクライマックスでは観客の前に姿を見せます。ずっと舞台の奥に隠れていたバンドとヒロインとが重なるわけです。ここではぜひ、バンドに大きな拍手を送ってください。