−−花組「野風の笛」の新人公演で花井主水正(はない・もんどのしょう)を演じました
本公演で春野寿美礼さんが演じている役です。私は本役さんの舞台を見るようにしていますが、まねにならないよう新人公演担当の演出の児玉明子先生の意向を聞き、役づくりをしました。
−−児玉さんはなんと
「若いんだからクールにやろうとせず、もっとはじけていてもいいのでは」と言われ、私らしさを考えました。松平忠輝と主水正は正反対のキャラクターのようですが、実は共通点、同じ価値観があったように思いますね。ただ、忠輝や五郎八(いろは)姫の前では感情を隠しておかなければいけない役です。姫への身分の違う秘めた恋を表現するのもつらかったです。なぜ姫を好きになったのかなど、舞台に出てこない背景をいろいろ話し合ったりしたんですよ。
−−難しかったのは?
第十二条「家康の処罰」の場の「堪え忍ぶのは、私ひとりで十分でございます」というセリフは、本当に最後の最後までできなくて。嫌みになってはいけないし、自分のためでもない。頭がねじれそうなぐらい悩みましたね。歌も難しくて、東京公演ではアカペラで歌うシーンで撃沈しました。忠輝役の愛音羽麗(あいね・はれい)さんと2人とも緊張して、どうしていいのか分からなくなってしまって…。
−−入団5年目ですね
花組に同期の男役は2人しかいないので、責任も大きくなってきました。今まで経験ない“黒いイメージ”の悪役にもあこがれますが、春野さんのようにパステルカラーの正統派の男役を目指したいです。
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