初舞台生50人のロケットで幕をあけ、宝塚歌劇創立90周年(関連記事:宝塚歌劇90周年記念式典)にちなんだ90人の大ラインダンスが話題の記念レビュー「タカラヅカ・グローリー!」の作・演出を担当している(宝塚大劇場、5月10日まで)。
「伝統に加えて、これから手にするであろうグローリー(栄光)を目指すという原案(小林公平)から、普段の3倍ぐらいの時間をかけて作りました。エネルギッシュな未来志向のダンス、グレードを示すストーリー・バレエ、伝統的なレビューが3本柱。世界で宝塚しかできないスケールの大ラインダンスに、エンビ服で踊る男役の美学を堪能してほしい」と力説した。
昭和16年、東京生まれ。映画監督志望だったが、早大時代に映画「ウエストサイド・ストーリー」を見て刺激され、「ミュージカルを作りたい」と宝塚へ入った(38年)。デビュー作はショー「若者達のバラード」(42年)。代表作にレビューの「ラ・ノスタルジー」「ル・ポアゾン」ほか。ミュージカルは「キス・ミー・ケイト」「GRAND HOTEL」などがある。
宝塚独自のオリジナルなテーマ性のある“ロマンチック・レビュー”を提唱し始めるのは、「ジュテーム」(59年)から。最新作の「テンプテーション−誘惑−」(平成15年)が15作目で、すっかりライフワークとなっている。
「時代を感じさせる鋭角的なショーから、しだいに甘くて華麗な、レビューの王道をいく作品を作りたいって気持ちになったんです。レビューは総合芸術で文化が成熟しないとできない。21世紀こそレビューの時代ですよ」
平成8年には宝塚クリエイティブアーツ社長にも就任。宝塚歌劇を核にしたエンターテインメント事業で、社員120人(オーケストラ50人)、年商約40億円。今月からCSのタカラヅカ・スカイ・ステージも傘下になった。
「100周年に向けて、宝塚のファンをさらに日本を超えて開拓したい。ぼくのレビューのテーマが近年はアジアになっているんですが、社長としても東南アジア戦略を描いている。宝塚の魅力は陶酔と滋養。明日への希望や活力を感じさせるエンターテインメント・ビジネスは、世界に通用すると思う」と意気盛んだ。
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