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「和実の未来へ進もうとするエネルギーと、時代の中ですさんでいく部分の両方を表現するのが難しい」と話す霧矢大夢 |
宝塚歌劇団月組の霧矢大夢(きりや・ひろむ)が主演するバウ・ロマンス「愛しき人よ−イトシキヒトヨ」(齋藤吉正作・演出)の公演が17日、兵庫・宝塚バウホールで開幕(26日まで)。東京では5月1−7日、日本青年館大ホール(千駄ケ谷)で上演される。霧矢は昨年、病気のため本公演とバウホール公演を休演。今回がバウ公演復帰作となる。
物語の舞台は1930年代のヨーロッパと上海。パリ駐在の陸軍中尉、遠藤和実(霧矢)は伯爵令嬢、ジェセフィーヌ(城咲あい)と恋に落ちる。しかし、彼には情報工作員というもう1つの顔と、隠したい過去があった…。
齋藤は「2つの大戦のはざ間の14、15年の時間の流れが、ヨーロッパ、中国、日本で展開します。日本で心に傷を負った男が、同じ心の傷を持つ女と繰り広げるロマンス歌劇ですね。男役として霧矢の新たな一面をお見せできれば」という。
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演出の齋藤吉正作 |
「和実の斜に構えた部分というのは、今までにない役柄。挑戦ですね。工作員としてみせる顔と、ジェセフィーヌへの純愛の間で葛藤(かっとう)する姿や、男として成長していく過程をどう見せるかが難しい」と霧矢。
上海で和実を待ちわびる川島芳子(紫城るい)、日本に残してきた婚約者(夏河ゆら)、ナチスの青年幹部、ケビン(月船さらら)…。時代が生んださまざまな人間たちの中で、和実は自分自身を見いだしていく。
齋藤は「ダンスの名手である霧矢の持つ、体のしなやかさ、力強さを動の魅力として出したい。歌はいろいろなタイプのものがあります。彼女の奥に隠れたマイナーな、ブラックな部分も見せられると思う」と自信をみせる。
ジャズやタンゴなど時代色の現れた音楽が多用されるのも、齋藤演出ならでは。
霧矢は「純愛物であり、ハードボイルド・タッチの面もあり、いろいろなものが詰め込まれている。つい明るく表現しがちですが、今までの自分にはない面も探し、人間の持つ陰と陽の両方をお見せできれば」と話している。
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