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20年ぶり再演「花供養」 |
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歌、踊りなし、芝居のみ伝統美継ぐ歴史ロマン |
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宝塚歌劇が9月に東京・日生劇場で上演する「花供養」(植田紳爾作・演出)は、歌も踊りもなく、芝居だけですすめるという異色の歴史ロマン。公演に先立ちこのほど、主演の轟悠(専科)ら出演者が、主人公の後水尾(ごみずのお)天皇の墓陵参拝など、ゆかりの京都を訪れた。
「花供養」の時代設定は江戸初期。徳川幕府の朝廷抑圧により後陽成帝が譲位し、第3皇子の政仁(ことひと)親王が後水尾天皇として即位。元和6年(1620)6月、2代将軍秀忠の第7女和子(まさこ)との婚儀が華やかに執り行われた。しかし、政仁親王には以前から深く愛し合い、2人の子供までもうけたお与津御寮人の存在があった…。
宝塚では1984年にバウホールの5周年記念として「花供養」を初演。春日野八千代、神代錦、榛名由梨ら専科の11人で公演し、その様式美は“宝塚の新歌舞伎”と高く評価された。20年ぶりの再演となる日生劇場は、専科と雪組の選抜メンバーとなり、専科からは轟のほか汝鳥伶、城火呂絵、邦なつき、磯野千尋の5人と、雪組からは音月桂、白羽ゆり、灯奈美、未来優希、愛耀子、山科愛の6人が出演する。
今回の再演の意味について植田は、「日生劇場の公演も3回目。隣の東京宝塚劇場とは違う形で、宝塚の力を見ていただきたいと、最初がドラマ性を強調した『風と共に去りぬ』、2回目がブロードウェー・ミュージカルの『雨に唄えば』だった。今年は宝塚歌劇創立90周年でもあり、日本物の勉強の成果を演劇の原点のストレートプレーで見せたい。冒険ではあるが、こうした機会に伝統美を継承していくことも大切だと思う。脚本は2幕目の終わりに主役が登場する場面を追加するなど少し書き直し、セットはより大がかりにかわっています」という。
轟は日生劇場での主演が、「風−」に次いで2度目になる。
「いつも私自身の挑戦の場になっています。とくに今回は歌と踊りがないぶん、よりごまかしがきかないし、私は春日野先生とはタイプの違う男役。不安は多いんですが、稽古場にいらした春日野先生から、天皇としての所作などを細かく指導していただいています」
京都では、東山区の泉涌寺の後水尾天皇月輪陵、北区の大徳寺、上京区の宝鏡寺とゆかりの場所を回り、「いろんなもの見たり、聞いたりして、役が近くなったような気がします。ひと回りでも成長して初演をこえる作品にしたい」と決意を語った。
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