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演出家 中村暁(さとる) すみれの園を創る人たち |
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滅びの美を男役で追求 |
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演出家 中村暁(さとる) |
「滅んでいく者のせつなさ、やさしさ、美しさを、男役でどうかっこよく見せられるか」を常に求めている。
21日に東京・日本青年館で開幕した雪組の特別公演「あの日みた夢に」(28日まで)も、そんなテーマに沿った作品。トップの朝海ひかるがギャングに扮(ふん)し、1920年代のアメリカ・シカゴを舞台に、滅びに向かって突き進む若者たちの悲しい情熱を描いている(大阪のシアター・ドラマシティ公演は9月4−16日)。
「宝塚ではシチュエーションがどう変わっても、愛のドラマに変わりはない。今回はギャングという特殊な設定の中で、不条理な愛がより際立つのではと思って作ったオリジナル作品」という。
昭和29年大阪市生まれ。52年に同志社大学文学部(美学芸術学専攻)を卒業し、演出助手として宝塚歌劇団に就職した。
「大学に募集が来ていたので、宝塚をよく知らないまま受験したんです。そのとき初めて見た舞台が再演の『ノバ・ボサ・ノバ』。すっごくきれいで、こんな世界があるのかとびっくりしました」。
演出助手はひたすら忙しく、先輩の仕事を見て覚える経験の積み重ね。
「まだ宝塚の巨匠(演出家)の白井鐡造、高木史朗両先生がご健在で、お話させていただいたことが、今となっては財産ですね」。
昭和60年、宝塚バウホールの「スウィート・リトル・ロックンロール」で演出家デビュー。平成3年「たとえば それは 瞳の中の嵐のように」、6年「ある日 夢のとばりの中で」、9年「君に恋して ラビリンス!」、13年「マノン」…と毎年のように作品を発表。ドラマシティ公演は15年「永遠の祈り」がある。
宝塚大劇場デビューは平成2年の「黄昏色のハーフムーン」。世界初のミュージカル化で話題を呼んだ「心の旅路」(4年)、エジプトを舞台にした「黄金のファラオ」(12年)は、「自分でも好きな作品」とか。
「宝塚は劇場自体が夢の空間で、そこに男役という現実にはないかっこいい存在がある。二重に現実から跳躍させてくれる魅力があると思う」
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