|
宝塚歌劇団90周年記念公演「花供養」
|
 |
 |
 |
芝居一本、挑戦の舞台 |
 |
 |
 |
宝塚歌劇団が、90周年記念特別公演「花供養」を9月1日から、東京・日比谷の日生劇場で上演する。専科の轟悠(とどろき・ゆう)を主演に出演者は11人。後水尾(ごみずのお)天皇を描く歴史物で、歌も踊りもなく芝居だけという宝塚歌劇では異色の作品だ(関連記事:20年ぶり再演「花供養」)。
 |
後水尾天皇月輪陵を参拝した音月桂、轟悠、白羽ゆり(右から) |
舞台は江戸初期。徳川家は、幕府安泰をはかり朝廷を権力下におさめようと、第3皇子の政仁(ことひと)親王を次代の天皇に推挙し、後水尾天皇として即位。元和6年、将軍・秀忠の第7女、和子(まさこ)と婚儀が華やかに執り行われるが、政仁親王には即位の前から深く愛しあうお与津御寮人の存在があった…。
上演に先立ち出演者全員で、後水尾天皇月輪陵や、大徳寺、宝鏡寺などゆかりの場所を回った。後水尾天皇を演じる轟は「実在された方ですので、この場所で感じたことを生かし想像力を持って役作りできたらと思います。歌や踊りがない分、ごまかしがきかない作品。私自身がどこまで挑戦できるかも課題」。
作・演出の植田紳爾は「学生時代に修学院離宮を拝見したとき、哀しみのようなものを感じました。この何の飾り気もないシンプルな建築物を作れる後水尾天皇とは、どういう人物か興味を持ったのが最初です。権力の確執に耐えながら、こういう建物を作るほどの人間へと悟り切っていく。その道筋を描きたいと思った」と話す。
「花供養」は昭和59年、春日野八千代、神代錦、榛名由梨ら専科の選抜メンバーで上演された。今回は、このとき後水尾天皇を演じた春日野がけいこに通い指導した。
「日本物では刀を振り回すような役ばかりでしたので、春日野先生には天皇としての所作、目線などを細かく教えていただきました。ほかにも『男役としての色気を伝えておきたい』と、たくさんのことを学びました」と轟。
雪組から音月桂(おとづき・けい)、白羽(しらはね)ゆりらの若手が抜擢(ばってき)された。「日本物を覚えてほしいですし、100周年に向けての人選です」と植田は期待する。
後水尾天皇の弟、近衛信尋を演じる音月は「所作、せりふの言い回しなど、ついていくのに精いっぱいですが、けいこで勉強し、成長できれば。兄思いの弟像をしっかり見せたい」と緊張気味に話す。
轟は「思うがままに演じてみたあと、よけいなものを削り落としていきました。ぶつけて出すだけが男役の大きさではなく、内に秘めたものをいかに表現するか。その心の動きで客席の空気をも動かせたら。怖さもありますが乗り越えて、節目になる舞台に」と力が入っている。
ほかに雪組から灯(あかり)奈美、未来優希、愛耀子、山科愛、専科から城火呂絵(じょう・ひろえ)、汝鳥(なとり)伶、邦なつき、磯野千尋が出演する。
|
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
?2004.The Sankei Shimbun All rights reserved. |
|