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演出家 児玉明子:すみれの園を創る人たち
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懐の大きい古典に挑戦
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大阪のシアター・ドラマシティで17日から始まる花組公演「天の鼓」(29日まで)の作・演出を担当する。能の「天鼓」「富士太鼓」をモチーフに、音曲の才能あふれる2人の若者の友情と恋、変らぬ愛の形を、平安初期を舞台に描く物語。
「雅楽を中心にして、自分なりの“天鼓”の解釈をしてみました。古典は懐が大きいので、未熟な私が無謀にぶつかっても、うまく受け入れてくれて、成長させてもらえる。奥が深くて楽しいです」
小柄で繊細なイメージだけれど、手がける作品はいつも大胆な発想で驚かされる。
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昭和49年東京生まれ。慶応義塾大学法学部3年のときに、宝塚歌劇団の演出助手に採用され、平成9年に卒業して正式に入団した。
「大学時代は、劇作塾で出会った先生から、30枚で一幕ものを書けといわれて、ひたすら書いていました。宝塚は新作が作れて、座付で勉強もできるので、募集があるときに受けたんです」
演出助手として経験を積み、新人公演の「ダル・レークの恋」などをステップにして、10年の宝塚バウホール「Endless Love」で演出家デビュー。「台本が舞台になる作り方が想像できなくて、無我夢中で終わったって感じでした」という。
11年のバウ「冬物語」は、シェークスピア作品を江戸の歌舞伎役者の世界に置きかえて表現し、華麗な舞台が好評で再演も行った。続いてドラマシティ公演で、12年に京劇を題材にした「月夜歌聲」、13年には「聖なる星の奇蹟」を発表している。
「歌舞伎も京劇も、わからないことだらけの高い山。いろんな方に助けていただきましたが、やってよかったと思います。宝塚の魅力は、やっぱり“愛”。見る人も、作るスタッフも、生徒さんやOGのみなさんも、宝塚をすごく愛し支えていて、温かい」
宝塚大劇場デビューはまだ。「今は考えられませんが、いつかは。宝塚は100年を超えてもずっと続いてほしいし、その中で私は、少しでもいい作品を、がんばって作り続けたい」
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