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演出家・大野拓史(たくじ):すみれの園を創る人たち
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後味のさわやかな作品を
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月組で上演中の「飛鳥夕映え」(関連記事:大劇場公演評)(柴田侑宏作)で、宝塚大劇場の演出デビューを果たした(8月9日まで)。
「柴田先生のファンなので、初めて相談しながら仕事ができてうれしかったです。今回は自分の個性を出すより、『品格を忘れないように』という先生の演出意図を実現する役割に徹しようと思いました。作品への向き合い方、登場人物それぞれのドラマの引き出し方など、教えられることばかりでした」
続いて、真飛聖(まとぶ・せい)主演の宝塚バウホール星組公演「花のいそぎ」の作・演出も手がけている(22日−8月2日)。小野篁(おののたかむら)を主人公に、平安初期の学生たちの成長していく姿を描く作品だ。
「学生物は宝塚ではあまりやっていないし、小野篁という人物にも興味があったんです。後味のさわやかな作品を心がけています」
昭和45年生まれ、東京都出身。平成6年京都造形芸術大学芸術学部を卒業後、武蔵野美大の大学院造形研究科に入学するが、中退して、8年に宝塚歌劇団に入団した。
「『ぴあ』に演出家募集が出ていたので受験したんです。演劇は好きでしたが、宝塚はそのときに初めて見ました。これだけいろんなジャンルの芝居を“宝塚色”で染められるのはすごいし、ガツガツせず抑制がきいた品のよさがいい。もっと早くから見たかったと思いました」
演出助手として勉強を重ね、11年のバウ公演「エピファニー」を初演出。シェークスピアの「12夜」を明治初期の日本に置き換えた喜劇だった。初の作・演出作品は12年の「更に狂はじ」。その後、「月の燈影」「春ふたたび」と手がけ、日本物のホープとして期待されている。
「これまでは日本物しかやっていませんが、どこの国にも興味はあるので、自然な形で両方をやっていきたい。バウホールはふつうの芝居を作れますが、やはり大劇場こそが宝塚だと思う。舞台転換の技術的興味もわいてきたので、あのスケールの大きさを生かした演出を、もっともっと勉強したいですね」
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