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すみれの園を創る人たち:装置家 新宮有紀
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大空間、有効に使いたい
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宝塚バウホールで上演中の星組公演「花のいそぎ」(8月2日まで)の装置を担当した。平安初期の異彩の人物、小野篁(おのの・たかむら)の学生時代を描いた作品。「日本物はとくに、時代の様式や建築などの、基本的な歴史の勉強から始めます。今回はいろんな場面がはまるように、柱を建てて動かす抽象的な装置にしました」という。
宝塚歌劇の女性装置家第1号。今年は宝塚大劇場の「1914/愛」、バウの「NAKED CITY」に続く3作目。次の大劇場花組公演で、ギリシャ神話をテーマにしたレビュー「TAKARAZUKA舞夢(まいむ)!」(8月13日から)の装置も手がけている。
昭和40年、高知生まれ、静岡育ち。62年に武蔵野美術短大専攻科を卒業後、宝塚の舞台美術家の大橋泰弘氏に師事して、舞台装置デザインを学んだ。
「舞台装置の仕事がしたかったんですが就職先がない。宝塚の舞台は短大時代に東京で初めて見て、おもしろいところだなと思いました。その装置家が大橋先生。弟子はとらない方ですが私から手紙を出し、勝手に助手みたいな形でついて回るようになったんです」
トツトツと話すシャイな人だが、定めた目標には積極的で一直線のようだ。
平成3年から宝塚歌劇の装置デザインに従事するようになり、装置補を経て、5年の大劇場「扉のこちら」で装置家デビューした。
「3本立ての1作で一幕物。何もかもが自分の責任になると思うとすごいプレッシャーでした」
その後は大劇場の「ミケランジェロ」「Cooktail」「プラハの春」「Joyful!!」「野風の笛」、シアター・ドラマシティの「聖なる星の奇跡」、バウの「なみだ橋 えがお橋」…と、担当作品が続いている。
「宝塚の魅力は、広い意味の美しさと透明感。レビュー小屋の条件を備えた大劇場の大空間を、有効に使うのは大変なこと。まだまだ力不足で毎回必死です。装置だけでなく全部のセクションが重なり合って、作品自体がよくなることがうれしいですね」
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