人気を呼んでいる宙組の1本立て大作「ファントム」(6月21日まで、宝塚大劇場)の潤色・演出を担当している(関連記事:制作発表)。元の作品はアーサー・コピット脚本、モーリー・イェストン作詞・作曲のアメリカ発ミュージカル。宝塚版ではファントム役のトップ・和央ようかが歌うプロローグを加えたり、随所に出てくるダンスシーン、装置や衣装のビジュアルなど、オリジナルとはずいぶん違う印象になっているという。
「コピット版では出演者が20人ぐらいですが、宝塚では70人規模になる。また、陰の存在のファントムをトップが演じるので、“出の印象”を強調して、大勢の人をどう動かし、どう見せ場を作るか。元の形を全く変えることはできないし、時間的な制約もありますが、できるだけ宝塚に合わせる演出を工夫したつもりです」
昭和39年、大阪生まれ。同志社大工学部機械学科を卒業後、63年に歌劇団に入団した。
「大学に入ってエンジニアは合わないとわかった。そのころ、たまたま見た宝塚歌劇がすっごくおもしろくて、ちょうど卒業のときに演出助手の募集があったので受けたんです。宝塚で一から演出の勉強をさせてもらいました。植田(紳爾)理事長や小原(弘稔)先生から学んだ影響が大きいですね」
演出家デビューは平成6年のバウホール「サラン/愛」で、17世紀の李氏朝鮮が舞台。続いて「大上海」「香港夜想曲」を発表。「当時はアジアの題材が新鮮で、すごく上昇パワーを感じたんです」
大劇場デビューは8年のレビュー「プレスティージュ」。その後、「レ・シェルバン」「ラヴィール」「ザ・ビューティーズ」「ダンシング・スピリット!」と、娯楽性の高いショー作りを追求。15年の日生劇場「雨に唄えば」で海外ミュージカルの単独初演出を手がけ、好評だった。
「『ファントム』もそうですが、非宝塚的な作品を宝塚でやると、超宝塚的になる不思議な魅力がありますね。ぼくは大劇場ではほとんどショー作品なので、一度、コスチュームプレーをやってみたい」そうだ。
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