−−宙組「ファントム」(東京公演は7月17−8月29日、日比谷の東京宝塚劇場)では、元オペラ座の支配人、キャリエールを演じています
役作りにすごく悩みました。ファントムの父親でもあるのですが台本を読んでも、どんな父親像であればいいか分からない。外見的な父親らしさを気にするのではなく、内面から役を作っていこうと考えました。ところが、最初は全くできなくて。初日の直前までずっと悩んでいました。
−−そうでしたか
お客さまの反応も全く予想できなくて、不安でした。そうしたら初日の銀橋でのキャリエールの歌で、今までに経験したことのないざわめきが客席から波のように押し寄せてきたんです。感動してくださっているのが伝わってきて演じながらドキドキしてしまい、「落ちつけ、落ちつけ」とずっと言い聞かせていました。お客さまが共感してくださっているのを感じ、ものすごくうれしかったですね。
−−歌は?
難しいです。音域がとても広くて、「エリザベート」のフランツを演じた経験が役に立っているなあと思います。
−−非常にやりがいのある役のようですね
男役の美学、包容力だけでは演じきれない役。醜い十字架を背負って生きていかなくてはいけないキャリエールを演じるのは毎日、心が辛いのですが、いかに誠実に演じるかをポイントにしています。和央ようかさんと舞台の上で相対することで生まれてくる自然な感情を大事に、さらに深く、役を進化させていきたいと思っています。
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