日本大学芸術学部を卒業後、宝塚歌劇団に就職した。「一般企業に就職しようと思っていた。『舞台の仕事で月給がもらえるのか?』と受けたら、宝塚だけ受かったんだよ」と振り返る。
入団後は、4、5年たったら東京に戻って舞台監督でもやっていこうと考えていたという。ところが、ちょうど5年目にバウホール公演でデビューが決まる。
「脚本、演出なんて大それたこと。毎回、これでこけるかも、次はもうないかもと思いながら、なんとかクリアしてきた。ただし、やる限りはこけるのは嫌だからね。その積み重ねだった」
宙組シアター・ドラマシティ公演「BOXMAN」(19−31日)は元金庫破り(和央ようか)と金庫メーカーの営業担当(花總まり)の恋物語。大人のコメディー仕立てで、東京公演の客席は温かな笑いで沸いていた。
「最初はシリアスにしようと思っていたけれど、この2人を思い浮かべて書くうちに、どんどん変わっていった。2人は素材的にまだまだ可能性を秘めている。あとは、2時間を面白く見てもらえればいい」
次は秋の花組公演「恋人たちの夢(仮題)」を手がける。
「タンゴものです。オサ(春野寿美礼)をいかに格好よくいい男に見せるか。トップペアを再度、ブレークさせるぐらいのつもりで書きます。水夏希(みず・なつき)(宙組)、霧矢大夢(きりや・ひろむ)(月組)が特別出演するので、2人をどう生かすかも悩みどころです」
しゃれたセリフ、出演者の持ち味を引き出しながらも独自の美学を貫く作風などファンは多い。
「最初から完成した絵を思い浮かべてはうまくいかない。ストーリーはもちろん、人物をどれだけ描けるかは現場での作業が大きいです。出演者も面白がれて、モチベーションを上げられるものを作る。そのためのたたき台を用意するのが仕事だと思っています」
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