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宝塚歌劇90周年 光輝く“故郷”が励み
宝塚歌劇90年の歴史を彩るタカラジェンヌたちは、延べ3500人を超える。“清く正しく美しく”をモットーにした舞台生活のあと、家庭に入った人が大半だが、女優として活躍するOGたちも今では、芸能界の一大勢力となっている。数年前からOGスターたちが勢ぞろいする同窓会のような舞台「桜吹雪狸御殿」も人気を呼び、すっかり春恒例の公演となった。今年も4月に、第3回公演が東西のコマ劇場で上演されるが、その出演者から榛名由梨、鳳蘭、麻路さきの3人に、創立90周年の祝辞と、宝塚歌劇の一時代を築いた大ヒット作品の思い出を聞いた。

大階段に勢揃いした歌劇団の総勢398人の生徒たちが宝塚の歴史をものがたる
大階段に勢揃いした歌劇団の総勢398人の生徒たちが宝塚の歴史をものがたる


■■■「ベルサイユのばら」 榛名由梨(はるな・ゆり)
「90年って、生きているだけでもすごいのに…。私たちにとって“故郷”の宝塚が、まだまだ元気で活気にあふれ、光輝いているのは、つくづく励みになりますね」と言うのは榛名由梨。

兵庫県出身で昭和38年初舞台。49年から花組と月組のトップスターをつとめ、63年に退団した。月組の初演「ベルサイユのばら」で初代オスカルに抜擢されて大ブレーク。花組に移籍して安奈淳と共演した「ベルサイユのばら−アンドレとオスカル−」では、役替わりしてアンドレを演じ、社会現象とまでなる空前のブームの立役者となった。

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「風と共に去りぬ」の初代レット・バトラーを演じた榛名。2枚目の主役が初めて口ひげをつけた。
「オスカルのときは原作の劇画がすでに人気で、周りの反応の方がすごかった。とにかく劇画ファンを失望させないよう、絵に似せて金髪の長いカツラや目に星が飛ぶようなメークをしたり、試行錯誤してましたね。その後、花組に組替えで、安奈さんとのコンビになったので、バランスの関係からアンドレをやることになったんです」

オスカル続投の意見も多かったそうだが、演出家の植田紳爾さん(現・宝塚歌劇団理事長)から、「イメージが固定するとオスカル役者だけで終わる。いろんなことにチャレンジしたらどうか」とアドバイスされて、決心したという。

「先生は私の将来のことまで考えてくれてはった。今はホントに、あのときアンドレをやっていてよかったと思いますね。初めて受けの芝居を勉強できた。それが次のバトラーにつながり、卒業して女優になった今もベースになっています」

“ベルばら”に続く“風”ブームで、宝塚人気は不動になるが、その「風と共に去りぬ」の初代レット・バトラーを演じたのも榛名。このときは2枚目の主役が初めて口ひげをつけたことが、センセーショナルな話題になった。

「私は子供のころから冒険好きな性格ではあったけれど、宝塚に入って競争もあって、常にチャレンジという前向きの意識になったように思いますね」

そして次の100周年に向けて、「宝塚の魅力はやっぱり、男役のかっこよさに尽きる。ちょっと現実離れした宝塚の香りを失わずに、みんなでもっと向上していって欲しい」と締めくくった。

■■「風と共に去りぬ」 鳳蘭(おおとり・らん)
宝塚ファン以外でタカラジェンヌと聞いて、真っ先に名前が出てくるのは、鳳蘭だろう。それほどエキゾチックな風貎と存在感は、退団したあとも圧倒的だ。“狸組”と自称しているOGたちが集まる舞台の中心には、いつも彼女がいる。

“後輩”真矢みき(左)と(平成9年).jpg
“後輩”真矢みき(左)と(平成9年)
兵庫県出身で昭和39年初舞台。45年に星組トップスターとなり、「ベルサイユのばらIII」ではフェルゼンを演じた。続く「風と共に去りぬ」のレット・バトラーは、豪快な男っぽさがピッタリで極めつけの代表作。その後も娘役の遥くららとの華麗なコンビで、「誰がために鐘はなる」「白夜、わが愛」などの名作を残した。

「私は50期生で、ちょうど50周年のときに入団したの。それから“ベルばら”“風”と、波乗りにたとえると、宝塚の一番いい時期に、最高の波に乗ったって感じやねぇ」と、遠くを見つめる目になった。

「なかでもバトラーは奥の深〜い役だったと思う。演じている認識をもって芝居をしているけれど、バトラーのときは自分と差がつかなくなってしまって、相手のくららをギューッと抱きしめてしまったの。そんな気持になったのは、ほかには女優になってからの『ジプシー』だけなんですよ。口ひげは先にショーちゃん(榛名の愛称)がつけてくれたから、抵抗なかったけど、私が最初やったらいややったかもね」

54年に退団したが、会見の席で「子供が産みたいんです」と涙ながらに発言したのは、前代未聞のことだった。その後、結婚して2人の子供に恵まれたが離婚。たぐいまれな天賦の才で、舞台女優として活躍の場を広げている。

「私生活ではいろいろあったけれど、私、“宝塚縁”はええのよ。宝塚の卒業生には、みんな血のつながっていない姉妹のような絆を感じる。初対面でも先輩には無条件で頭を下げられるし、後輩だとかわいい。全員に会ってみたいわねぇ」

90周年の宝塚歌劇については、別れ際こう言った。

「年々、若い芽が育ってきて、老いた芽をつんでいく繰り返しが、90周年の今も活気がある原動力になっているのだと思う。でも、老いた芽も健康第一でがんばってますよ」

■■「エリザベート」 麻路(あさじ)さき
嫁ぎ先のブラジルから帰国して、「桜吹雪狸御殿」に2度目の出演をする麻路さき。

「退団後はもう舞台に立つことはないと思っていたけれど、昨年“狸”の舞台に呼んでいただいて、夢のように楽しかった。在団中では絶対ありえない、すごい大先輩たちと同じ舞台に立たせてもらったんですから。里帰り気分で申し訳ないんですが、90周年記念の今年の公演にも続いて出られて、ホントにうれしいですね」と素直に喜んでいる。

さよならパレードする麻路さき(平成10年)
さよならパレードする麻路さき(平成10年)
神奈川県出身で昭和58年入団。平成7年の阪神大震災で宝塚大劇場が休演になり、再開後最初の公演「国境のない地図」が、星組トップスターとしてのお披露目だった。そして、再演の「エリザベート」で死神トートを新たなビジュアルで好演して、「エリザベート」ブームを定着させた。

「初演の一路さん(真輝、元雪組トップ)の舞台が大評判だったあとなので、すごいプレッシャーがあったんです。私は歌も苦手だったし、ビジュアル的に一路さんと変えようと、髪を金色にしたりロングコートを着たり。人間っぽくならないように体や手の動きも工夫しました。やっているときは大変だったけれど、トートを演じたおかげで“狸”にも呼んでもらえたんだと思います。私は“ベルばら”にも“風”にも出ていますが、自分の持ち役ではトートの注目度が一番ですね」

今をときめく新撰組の土方歳三を演じた「誠の群像」も印象的だったが、平成10年の「皇帝」を最後に“寿退団”。千秋楽の翌日にファンの前で、結婚報告パーティーを開いて、ブラジル在住の日系人実業家に嫁つぎ、1児をもうけた。ブラジルでは良妻賢母に加えて、日本からの駐在家族などにピアノやダンスを教えているという。

「宝塚のことは海外でもよく知られているんですよ。ブラジルではNHKの衛星放送が見られるんですが、今年は朝ドラの『てるてる家族』が宝塚音楽学校を取り上げたこともあって、話題が広がりました。宝塚の卒業生だってことがすごく誇らしく感じられて、宝塚にいてホントによかったと実感しています」

■■■植田理事長 関西プレスクラブで講演
今年4月1日に創立90周年の記念日を迎える宝塚歌劇団の植田紳爾理事長(71)がこのほど、大阪市内のホテルで開かれた関西プレスクラブ定例昼食会で、「宝塚90年の道−そして100年に向けて」をテーマに講演した。

大正3(1914)年に産声を上げた宝塚歌劇は、今では約500人の団員をかかえ、年間200万人を超える観客を動員する人気劇団。「ベルサイユのばら」など大ヒット作の演出家でもある植田理事長は、その歴史を創業者の小林一三翁の言葉やエピソードを交えながら説明した。

「宝塚は未婚女性だけの劇団で特異な存在と見られてきたが、そんな見方が変わってきたと実感したのは3年ほど前。まず海外で“演劇産業の成功例”と認識され、日本でも演劇のジャンルで認められるようになった。そうなるまでに90年が必要だった」と分析。

次の100年に向けては、「日本の宝塚から世界へ向けて行動していくことが一三翁のご遺志にもかなう。夢はラスベガスで1年間、収支が取れる公演をすること。そのスタートが4月1日だと考えたい」と締めくくった。講演は18日に行われた。

ENAKは、原則的にOGの記事は、「一般演劇」のジャンルに収録しますが、この記事はOGから歌劇団に贈る言葉という趣旨のため、「SUMiRE STYLE」に収録しました。

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3月25日[木] 大阪夕刊より
by 平松澄子
連載 産経新聞における主な宝塚関連連載記事は次のとおりです。

・東京本社が発行する毎月第1、3月曜日朝刊の「ザ・タカラジェンヌ」

・大阪本社が発行する毎週土曜日夕刊の「すみれの園を創る人たち」


・大阪本社が発行する夕刊では、毎月不定期火曜日に大判の写真をあしらった連載「タカラヅカ90th きらめく星たち」も。

番組表 東京版朝刊TVメディア面のBS・CS欄にはCSチャンネル「TAKARAZUKA SKY STAGE」の番組表と解説を毎日掲載しています。

OG関連記事 演劇一般など、それぞれ活動のジャンルごとに掲載しています。
ENAK編集部
編集局文化部
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