衣装デザイナー、任田幾英(とうだ・いくえい)。華麗で夢あふれる宝塚歌劇に欠かせない、美しくかっこいい衣装を手がける大ベテラン。今年も年初から、「天使の季節」「1914/愛」「タカラヅカ・グローリー!」など、宝塚大劇場公演のほとんどの衣装を担当。これからも宙組の1本立て大作「ファントム」(14日から)、月組の「飛鳥夕映え」(6月25日から)…と途切れなく続く。
「大劇場のほかにバウホールや大阪のシアター・ドラマシティの公演も含めると、私が衣装を担当した作品は、今年いっぱいで合計450になります。いまだに勉強です」。すごい実績なのに、謙虚な物腰でサラリといった。
昭和14年、大阪生まれ。桃山学院大経済学部卒業後、就職した企業を1年半で退社して、あこがれのパリに遊学。ファッション関係のデッサンや立体裁断などを学んでいるときに宝塚歌劇を知った。
「仏文学や仏映画が好きでね。ちょうど私がパリにいたころ宝塚がパリ公演中で、街でタカラジェンヌさんを見て、なんとかわいい子たちだろうと思いました」
帰国後、紹介されてカリスマ演出家の白井鐡造さんと会ったことがきっかけで、41年、歌劇団に入団。翌年、「アディオ・アモーレ」で衣装デザイナーとしてデビュー。43年「ウエストサイド物語」、平成5年「グランドホテル」、12年「凱旋門」、13年「ベルサイユのばら」、15年「レヴュー誕生」…とショーや芝居、日本物や洋物を問わず、多くの作品の衣装を作り続けている。
作品に関しての時代考証は必ずやることですが、宝塚の衣装は大きな劇場と独特の宝塚調メークに合うこと、生活感を出さないことなどが大事ですね。私はとくに色の透明感と組み合わせにこだわって考えます」という。
デザイナーの立場からみた宝塚歌劇の魅力は?
「うれしいのは、宝塚はみんな青春真っただ中の人ばかりの集団で、舞台姿も素顔も美しい。そんな一番の財産を一段と輝かせる衣装を作るのは、ホントに幸せな仕事です」
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