宝塚大劇場で上演中の大作「ファントム」(宙組、6月21日まで)(関連記事:制作発表)の音楽監督をつとめている。小説「オペラ座の怪人」を下敷きにしたアメリカ発のミュージカルで、作・編曲はモーリー・イェストン。宝塚版ではファントム役の和央ようかのために、新曲「僕の悲劇を聴いてくれ」も提供してくれた。
「オペラ的な美しい曲ばかりで、日本人にウケる曲調だと思います。ただ音域が広いので、女性だけの宝塚では、歌で男女の差を出す調整が大変ですね。オリジナルにない主役の歌は、冒頭でタカちゃん(和央)に歌ってほしいというスタッフの願いでしたし、ダンスシーンも加わっている。全体像を考えて、大勢の出演者がなるべくみんな歌えるように、曲を振り分けるのも音楽監督の仕事です」
昭和29年、東京生まれ。日大鶴ケ丘高校芸術学部音楽科卒業後、アイドル歌手のバックバンドとして芸能界に入り、作・編曲を手がけるようになった。
「高校ではブラス・ロックグループを作ってギターをやっていたんです。初めて作・編曲したのは伊丹幸雄の楽曲。その後、アニメの世界に入って『うる星やつら』などの作・編曲もやりました」
宝塚の仕事は、56年にバウホール公演「Sing・Sing・Sing!」の編曲が最初。大劇場では59年の「ラブ・エキスプレス」で初めてオーケストラをアレンジした。「酒井(澄雄)先生(演出家)と知りあって、声をかけていただいたんです。女の人ばかりに教える宝塚は、不思議な世界でしたね」
平成5年に歌劇団と優先契約を結び、宝塚に住むようになる。「殉情」で初めて日本物の主題歌を作曲。ほかに「ジュビレーション」「再会」「長い春の果てに」などの主題歌も作曲し、「ハウ・トゥー・サクシード」や「雨に唄えば」(日生劇場)の音楽監督もつとめた。
「宝塚で仕事をやりたいと思ったのは、いろんなジャンルの音楽に接することができて、仲間と一緒に創り上げる一体感。ぼくは欲張りなのでそれがすごく魅力です」
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