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演出家、石田昌也:すみれの国を創る人たち
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ファン層広げる娯楽作を
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宝塚大劇場で上演中の雪組公演「青い鳥を捜して」(12月14日まで)を作・演出。優しさにあふれた大人のラブストーリーで、トップ・コンビの朝海ひかる、舞風りらに、専科の轟悠を加えた特別キャストが、創立90周年の棹尾を飾っている。
「派手でゴージャスな作品だけが宝塚じゃないってところを見せたかった。幸せは自分のすぐそばにあることをテーマに、恋、愛、情などを突っ込んで、ストレートに描いた」という。
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昭和31年宝塚市生まれ。54年に玉川大学文学部を卒業して、宝塚歌劇団に就職した。
「最初に助手についたのが、白井先生(鐵造=カリスマ演出家)の最後の作品。ぼくは徒弟制度の最終世代で、いい意味で家庭的な雰囲気の中で、みんなに見守られて育てられたって感じですね」
演出家デビューは宝塚バウホールの61年「恋のチェッカー・フラッグ」で、舞台にスポーツカーを登場させて驚かせた。以後もバウでは「硬派・坂本竜馬!」や、『春琴抄』をもとにした「殉情」、『蒲田行進曲』をもとにした「銀ちゃんの恋」などの異色作をコミカルに味付けして、新鮮な話題を提供している。
「よく変わっている、といわれるけれど、ぼく自身はできるだけ普通の感覚で作品を作ろうと思っているんです。宝塚が特殊な世界って意識もなく、新劇的なクソまじめさもなく、観客もごく平均的な男女って思っていますから。ただ、まっとうでない主人公にドラマを感じますね」
大劇場は平成3年「ブレイク・ザ・ボーダー!」のデビュー作以来、「ジュビレーション!」「スナイパー」などショー作品が続いた。初めて手がけた芝居は新選組の青春群像を描いた9年「誠の群像」。その後、三菱財閥の創始者を主人公にした「猛き黄金の国」、ジャンヌ・ダルク異聞ともいえる小説を舞台化した「傭兵ピエール」など、やはり宝塚ではちょっと風変わりなジャンルが目立つ。
「広い意味での“宝塚入門”になる演劇の娯楽作を作って、ファン層をもっと膨らませたいのが夢ですね」
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