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演出家 荻田浩一:すみれの園を創る人たち |
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分かってきた 空間の使い方 |
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地中海のリゾート地をイメージした明るく開放的な星組のショー「ロマンチカ宝塚’04〜ドルチェ・ヴィータ!〜」(宝塚大劇場、11月8日まで)の作・演出を担当。初演の8月博多座公演より出演者が倍のフルメンバー約80人に増えて、いっそう華やかでダイナミックになった。
「ショーは全場面ののべ人数が約400人。40人増えると200人をプラスして動かすので、同じ作品でも印象が全く違います。宝塚のレビューはやはり人海戦術だし、世界中で今、宝塚でしかできない。大劇場の空間をうまく使うのは難しいけれど、やりがいがあって楽しいですね」
昭和46年京都生まれ、大阪育ち。大阪大学文学部日本学科在学中に宝塚歌劇団の演出助手に合格して、平成6年卒業後に入団した。
「文化人類学者の小松和彦先生に魅(ひ)かれて阪大に進学して、研究室に入るつもりでいました。芝居はとくに小劇場関係が好きでよく見ていましたが、生活していける仕事とは思えなかった。それが冗談で受けた宝塚に合格してびっくり。数年後にやめるつもりで入ってみたんですが、しだいにこの仕事がおもしろくなってきたんです」
平成9年の東京・日本青年館「夜明けの天使たち」で演出家デビュー。10年の宝塚バウホール「凍てついた明日」などが高い評価を得て、11年「螺旋のオルフェ」で大劇場デビュー。その後は13年「パッサージュ」、14年「バビロン」とおもにショー作品で手腕を発揮し、独自の作風を築きつつある。
「ぼくはまず、主演者に合う役柄と似合う衣装を考えて作品を作るんです。大劇場での芝居はまだ力不足ですが、多少大きな空間の使い方がわかってきたので、来年3月の花組公演『マラケシュ・紅の墓標』で芝居に再挑戦したいと思います」
外部の仕事でダンスショーや小さな芝居を手がけることも多くなった。「宝塚はよく夢の花園といわれますが、演出家にとっても温室で居心地のいい所。だから、ふと外を見たとき、浦島さんになる怖さがある。なるべく外の世界とも接触してバランスをとることが、ぼくには必要ですね」
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