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演出家・植田景子:すみれの園を創る人たち
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海外留学で初心を再確認
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英ロンドンと独ハンブルクに、昨年9月から今年8月まで研修留学していた。帰国後に初めて手がける作・演出作品が、宝塚バウホール公演「THE LAST PARTY−フィッツジェラルド最後の1日−」。宙組の大和悠河主演(24日−11月2日)で上演したあと、月組の大空祐飛主演(11月13日−22日)で続演というスタイルになる。
「バウでしかできない、1人芝居のような実験的な作品で、主演者に大きな課題を与えた。米文学を代表する1人の作家の、栄光と挫折の生涯をじっくり描きたい。私も今までと違って、台本通りではない即興的な取り組み方に挑戦しています」
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昭和41年奈良県生まれ。10歳のときに「ベルサイユのばら」を見て宝塚ファンになり、高校の演劇部では脚本を書いていた。63年神戸女学院大学文学部卒後、ミュージカルの演出助手やニューヨーク、ロンドンの留学を経て、平成6年に宝塚歌劇団に入団。初めての女性演出家だった。
「大失業時代があって、宝塚にも何度も落ちていたんです。うれしいというより、やっと女性にも門戸が開いたって気持ちでしたね」
10年のバウ「ICARUS(イカロス)」で演出家デビュー。以後、バウでは「ロミオとジュリエット99」「アンナ・カレーニナ」など、宝塚大劇場は12年の「夢と孤独の果てに〜ルードヴィヒII世」、15年の「シニョール ドン・ファン」がある。
今回の海外留学は、「演劇文化の伝統があるヨーロッパで、モノ作りの現場を勉強したかったから。やはり時間や手間ひまのかけ方、支える意識や体制などが、日本とは大きく違いますね」という。
その一方で改めて、「宝塚は90年の歴史を持ち、多くの公演をこなし大勢の観客がいる。これだけのプライベート・カンパニーは世界でも類がない」と意義や価値を実感。「お客さまをひきつける魅力は、何よりも生徒たちのホントに純粋なタカラヅカ精神。私は今の気持ちを大切に、自分を信じていいものを作ろうと、初心の姿勢を再確認できた」そうだ。
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