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宝塚大劇場星組公演「花舞う長安」 「ロマンチカ宝塚04」
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大型トップコンビにぴったりの“世紀のメロドラマ”
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堂々とした体躯と伸びやかなおおらかさが、中国唐王朝の黄金時代に君臨した6代皇帝・玄宗にうってつけの湖月わたる。絶世の美女と称(たた)えられる楊貴妃は、きっとこんな姿だったろうと思わせるほど、中国装束が似合って美しさが際立つ檀れい。「花舞う長安−玄宗と楊貴妃−」(井上靖原作、酒井澄夫脚本・演出)は、大型の星組トップ・コンビの持ち味を生かした役柄で、絢爛(けんらん)たる王朝絵巻で酔わせる“世紀のメロドラマ”になった。
過ぎし日の夢に浸る玄宗は、万能の力を持つという仙人(英真なおき)に、亡き玉環(楊貴妃)にもう一度逢(あ)わせてほしいと願う。皇帝になって国家を治めた玄宗は、牡丹(ぼたん)の花のように美しい玉環を婚約者の寿王(柚希礼音)から強引に奪い、後宮に迎えて貴妃の位を与え、一族を厚遇した。しかし、2人の愛が深まる一方で国は衰退し始め、軍事的に力をつけた将軍・安禄山(安蘭けい)が反乱。扇動された国民は楊一族を呪(のろ)い、楊貴妃の死をもってようやく混乱は鎮まるが…。
史実も原作も政治と権力の激しい確執が背景にあるが、舞台はあくまで純粋な恋物語。説明不足やつじつまの合わない部分は多々あっても、トップ・コンビのしっとりとした芝居にうっとりして、すべては払拭(ふっしょく)。愛を深めた玄宗と楊貴妃が水蓮の花の中で歌い舞う幻想的なシーンに、河村隆一作曲のバラードがよく合う。宝塚はやはり、スターの人(にん)に合った芝居で魅せることを再認識させられた。
戦闘の殺陣シーンはなかなかの迫力。宦官・高力士役の星原美沙緒(専科)の巧演が光る。
ショー「ロマンチカ宝塚’04−ドルチェ・ヴィータ!−」(荻田浩一作・演出)は、イタリアを中心に1950−60年代の地中海をイメージして展開する。明るく開放的な色彩は、湖月がトップの星組にぴったりで、その中にノスタルジックな味わいと不気味な陰影を加えたのが、荻田演出ならではのスパイス。
舞台いっぱいに「ヘ」の字型に掛かるリアルト橋の装置、矢代鴻(専科)の退廃的な歌唱がきいている。
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