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演出家、正塚晴彦 すみれの園を創る人たち |
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男役の世界だからの強み |
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ブエノスアイレスを舞台に、タンゴダンサーの男と画家志望の娘とのラブロマンスを描く、花組公演「La Esperanza−いつか叶う−」(27日まで、宝塚大劇場)の作・演出を担当。暗めのステージで乾いたタッチの独特の“正塚ワールド”は、夢々しい作品が多い中で異彩を放ち、コアなファンの人気が高い(関連記事:「La Esperanza−いつか叶う−」製作発表)。
「ニュースなどで作品のヒントをつかみ、男がカッコいい話を組み立てて、舞台転換などを考えていくと、なぜかそうなってしまう。主役の男役が絶対にカッコいいことが宝塚の最大の魅力だし、そう見せることが座付き作者の仕事。今回の作品は音楽から入って、タンゴを使って主役をダンサーにすればカッコよく描けると考えたんです」
ちょっとニヒルな表情でいう。
昭和27年大阪市生まれ。日大芸術学部演劇学科卒後、51年に演出助手で宝塚歌劇団に入団した。
「俳優志望だったけれど、入学してすぐに自分には向いてないと思った。ところが就職難の時代で一般企業を受けても全滅。宝塚は学校に求人が来ていたので、舞台監督的な仕事ならできそうかなと。脚本・演出をやるつもりはなかった。そろそろ転職しようかと思っていたころ、いきなり指名が来たんです」
それが演出家デビュー作となった宝塚バウホールの「暁のロンバルディア」(56年)。大劇場デビューは60年「テンダー・グリーン」だった。
「すべてスタッフの力のおかげ。大まぐれで評価をいただいたけれど、いつか馬脚を現す、ヤバイって感じでしたね」
以後、大劇場では「銀の狼」「メランコリック・ジゴロ」「2人だけが悪」「ブラック・ジャック 危険な賭け」「追憶のバルセロナ」など。バウでは「2人だけの戦場」「WANTED」など。次々に意欲作を発表し、ヒューマンでクールな味わいのある独自の路線を築き上げた。
大阪のシアター・ドラマシティでは、平成10年の「ブエノスアイレスの風」を皮切りに4年連続で公演を担当。今年3月の宙組「BOXMAN」では、主演コンビが菊田一夫演劇賞を受賞している。
「宝塚は恋愛でもプラトニックだけでドラマが成り立つ。一番美しく、いいところだけで描けるのが強み。それはイメージで見られる男役の世界だからで、ミュージカルでも全く違和感がないんです」
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