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宝塚大劇場花組公演 |
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すがすがしく前向きな青春群像 |
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宝塚大劇場の花組公演は、ブエノスアイレスを舞台にしたラブ・ロマンス「La Esperanza−いつか叶う−」(正塚晴彦作・演出)と、レビュー「TAKARAZUKA舞夢!」(藤井大介作・演出)の2本立て。宝塚歌劇90周年の特別企画として、月組の霧矢大夢、宙組の水夏希、専科の未沙のえるが参加して彩を添えている。
「La Esperanza」はスペイン語で「希望」。タンゴダンサーを目指す青年カルロス(春野寿美礼)と画家志望の娘ミルバ(ふづき美世)が出会い、「自然の中で暮らすペンギンを見に行きたい」という共通の夢で意気投合する。2人の目標は思わぬ障害で挫折するが、励まし合いながら新しい人生を歩み始め、互いにかけがえのない存在になっていく…。
ペンギンはいささか突飛だか、大層な出来事が起きるわけではない。それぞれに夢を抱いて普通に暮らす若者たちの日常が、往年の映画俳優マイケル(未沙)の回想形式で進行する。挫折した夢にすがりつかず、ささやかでも次の喜びを求めていく姿は、タイトル通りできわめて前向き。甘いと思いつつも、清々しさに励まされて元気が湧いてくるようだ。
主人公をタンゴダンサーにしたことで、男役のカッコよさが味わえるし、タンゴの音楽は妙に心の琴線をくすぐる。よどみのない舞台転換と何気ない会話の連続で織り成す“正塚ワールド”。その独特のテンポと空気感を楽しむ舞台になった(関連記事:演出家、正塚晴彦に聞く)。
レビューは全知全能の神ゼウス(春野)を中心にして、パンドラの箱、トロイ戦争などギリシャ神話のエピソードをモチーフにした作品。天野喜孝デザインのポスターのファンタスティックなイメージとは違って、神様たちはみんな感情あらわで生々しい。新世界の場面で春野が熱唱する、YOSHIKI作曲の「世界の終わりの夜に」のメロディーがのびやかで美しい(関連記事:製作発表)。
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