姿月あさとさんの最後の作品「砂漠の黒薔薇」の新人公演で、姿月さんの役をさせて頂きとても幸せです。この新人公演は、初めて役をもらった人も多く、宝塚大劇場の公演時よりみんなが確実に成長したのが、うれしかったですね。
第七場の王子の幻想シーン=写真=はきれいで気持ちがいい場面です。そこで姿月さんが歌う「この想いは何だろう」がとてもすてきなんです。でも自分で歌うと難しくてイメージが全く違う。まだまだ力が足りないなあ、もっと勉強しなくてはと反省しました。
マリヤーナ姫に思いを打ち明ける場面はマリヤーナ役の遠野あすかちゃんと何度も相談して作りあげたので、二人ともとても好きになったシーンですね。お互い思いあっているのに、すれ違っていた二人の心が初めて触れ合う。すーっと流れてしまいがちなので、心に残るよう心がけました。
私は学校時代から歌もお芝居も赤点で…。でも、宙組にきてから、色の違う役をいろいろ経験させていただき、演じる面白さを学びました。今、毎日がとても充実しています。姿月さんがおやめになることは想像もできませんが、「教えてあげられることはみんな教えるから」とおっしゃってくださった。姿月さんのように大きくて温かな人を目指して、これからも頑張っていきたいです。
◇
久遠麻耶(くおん・まや)平成6年、「火の鳥」で初舞台。9年、宙組誕生で星組から宙組へ。昨年の「激情」「砂漠の黒薔薇」の新人公演で主役を務める。