今、公演中の「源氏物語 あさきゆめみし」(東京・有楽町のTAKARAZUKA1000days劇場、八月十四日まで)で演じている光源氏は、私にきっと似合うと、ファンの方を中心に以前から熱望されていた役柄で、私も本当に幸せなんですけど、これまで宝塚で上演されてきた、源氏の君がそれは美しく光り輝いて、美しい女性たちに取り巻かれてばかりいる華やかな面ばかりでない、人間的な部分ていいましょうか、いわば「須磨」から戻されてからの栄華と苦悩が重要なモチーフとして描かれているところが、大きな特徴なんです。
だから、私としては、晩年の源氏が柏木の裏切りを目の当たりにしてしっとしたり、最愛の紫の上に先立たれて、シュンとしてしまったりする、そんな人間っぽい源氏の姿こそが見どころで、私のベストシーンっていえるところです。
若くてきれいで雅(みやび)なところももっと見たいと思う方もいると思いますけど、そんな方のために特別なこと、お教えしますね。「悲しい夢」から「桜散る」へ至る、藤壺とか他の女官たちとの華やかな幻想場面がありますね、あそこで私が着ているいぶし銀の狩衣は、春日野(八千代)先生が昔、演じられたときの衣装をお借りしているんですよ! 次の「準太上天皇即位式」の衣装も豪華ですけど、どうぞ見逃さないでくださいね。
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あいか・みれ 1985年、「愛あれば命は永遠に」で初舞台。花組一筋。96年のバウ作品「HURICANE」で注目を集めた。99年「夜明けの序曲」でトップに。和洋、貴公子役の美しさには定評がある。