ショー「ザ・ビューティーズ!」の第二章「ワイン・バー」のところかな。
こんどのショー、どの場も楽しくて。ロケットの後、フィナーレの男Aとして、わたしが女役を大勢従えて出るところも、大人っぽいバラードで始まるシーンで好きです。でも、とくにっていうことでわたし、ストーリー性あるダンスが好きだから、「ワイン・バー」の場面になるんです。わたしはセラーマスターAという、いわばソムリエの役。男役がふんした他のソムリエたちがワーッと場を盛り上げた後に、わたしが一人で銀橋(宝塚独特の弓型のエプロンステージ)を歌いながら渡って、セットチェンジを終えた舞台中央に戻り、新たなダンスシーンが展開します。
赤ワイン色というか、エンジのタキシードを着たわたしが作ったワインがあきちゃん(渚あき)で、それを飲むのが客の紳士S役のチャーリーさん(匠ひびき)というストーリー仕立てになっているんです。
そのシーンね、歌が難しかったァ。踊りだけでなく、お芝居もしているから、お客さまにわかるように歌い踊らなければ…と。チャーリーさんと女性の取り合いをしているふうに見えたら失敗。ソムリエのわたしが、お客のチャーリーさんにワインのあきちゃんをどうぞ、とすすめている場面なんですから。
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いおり・なおか 平成元年、「春の踊り」で初舞台。自然体の美しい笑顔と陰影ある雰囲気のミックスが魅力の男役。今年6月の異動で花組から専科入り。代表作「Endless Love」他。現在、花組東京公演に出演中。