「黄金のファラオ」はトップになって初めてのオリジナル作品なので、自由な羽をもらったような感じでした。古代エジプトの物語ですが、今の世の中にも通じるハートを大切に演じています。コスチュームプレーにしては、ライトでロックな感じと思われるかもしれませんが、大芝居にならずに描きたいですね。
私の演じるセティは元奴隷の剣士。見せ物の殺し合いの試合で親友を殺してしまうのですが、ここは演じれば演じるほど深くなっていくシーンで、とても好きです=写真。ミュージカルナンバーですべてを表現するのですが、友のことを心に重く沈めていけばいくほど、次には生きることを考えなくてはならないセティの苦悩のシーンです。
ほかにも、これでもかというほどのファイティングシーンもみどころかな。とてもドラマチックに表現されています。ファイティングは学生時代、武闘愛好会をやっていたぐらい好きですし、先生がやっている姿は格好いいのですが、自分で衣装を着けてやるのは難しかったですね。
王とそっくりだったためセティは王の身代わりになりますが、そこで、雇い兵のセイタハトとの男の友情と、王妃との恋が生まれる。心のひだが見えるような距離を置いたラブシーンもこの作品ならではですね。そうして出会った三人が三人それぞれに成長していく。だから悲劇かもしれないけれど、見た後にすがすがしく感じてもらえると思います。
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みのる・こう 昭和60年、初舞台。ダンスシーンの美しい伝統的二枚目ぶりと、コメディーセンスには定評がある。昨年2月、星組トップスターに。「黄金のファラオ/美麗猫」は9月17日まで、TAKARAZUKA1000days劇場(TEL03・5251・2001)で上演中。