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専科   絵麻緒ゆう    
2000.08.26産経新聞夕刊 田窪桜子


 これまでは思い入れのある場面を挙げられたのですが、「黄金のファラオ」は、公演自体が一つという感じがして、好きなシーンは決められないですね。

 演じている雇い兵、セイタハトは、演出の先生からどんな人間なのか、あまり注文がなかったので、自分でいろいろ考えました。愛想が悪くて腕が立つということは、本当の実力がある。父親が水担ぎだったという設定から想像して、若いころ貧しくて、何か心に衝撃を受け、屈折してしまったのではないかなど。役づくりで頭に浮かんだのは映画「ターミネーター」。無愛想でも仕事はできるぞっていうイメージです。

 セティ(稔幸)が本物の王ではないと知りながら守るのは、自分と同じ孤独や寂しさを感じたからだと思っています。身代わりだとわかって剣を突きつけると、彼は見据え返してくる。このシーンは特に大事にしていますが、セティの度胸の良さを認めたわけですね。立ち回りがたくさんありますが、実は怖いから嫌いなんです。役に入り込んじゃうと、役の感情に突き動かされてしまって加減ができなくなってしまうからです。今回もけいこで顔をぶつけてしまいました。

 最近演じてみたいと思うのは、「これだけには命をかける」というような、信念を貫く男らしい人。最近現実にそういう人は少ないですが、セイタハトはまさにそういう男。格好いいなあと思って演じています。

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 えまお・ゆう 昭和62年初舞台。平成元年「ベルサイユのばら」のオスカル役、4年「白夜伝説」、5年「パルファン・ド・パリ」「うたかたの恋」、迫真のディーン像を造形し話題となった10年「ディーン」などに主演。今年、星組から専科に異動。


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