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星組   朝澄けい    
2000.09.16産経新聞夕刊 演劇コラムニスト石井啓夫


 今、出演している「黄金のファラオ」、わたし個人的にも好きな作品です。最後にスフィンクスの前で、主人公が昇天していくところなんて、宝塚的でいいなァと思います。

 十二日に新人公演で、主役のファラオとセティをやらせていただきました。人間のどん底状態にいた元奴隷の剣士セティから、神でもある王になる変化をどう見せるかというところで、本公演で演じているシャヌーンの役がとても参考になりました。悪政で民を苦しめるファラオの命をねらう刺客で結局、王を討てず自ら命をたってしまう役ですが、ファラオになりすましているセティにとっては、シャヌーンの気持ちがよくわかっているはず。次第に自分を替え玉としてかつぎ出した周囲の悪人たちの陰謀に気づいて、替え玉なりに彼らを滅ぼすことを誓う心境の伏線になっている。そのあたりの変化をお客さまに感じていただけたらと精いっぱい、演じました。

 本公演で好きなシーンは、第十場の「ベル・ラムセスの町」で、同期生の美椰エリカと組んで、祭りの男と女にふんして、歌って踊るところ。エリカは、この公演で退団してしまうので、寂しいけど最後に楽しい場面で共演できてうれしかった。新人公演では、皇太后役で、わたしの母親役を演じてくれたのも思い出になります。

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 あさずみ・けい 平成6年、「火の鳥」で初舞台。すっきりした美形の男役で、次代の星組を担う期待のスター。現在、公演中の「黄金のファラオ」で、「ウエストサイド物語」のトニーに次いで、二度目の新人公演主役を務めた。


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