「花吹雪 恋吹雪」で石川五右衛門を演じています。有名な盗賊ですが宝塚歌劇団に初登場のキャラクターです。
心の中には複雑な思いを抱えているのですが、感情を表に出さないニヒルでクールな感じの男。芝居で感情が高ぶってくると、感情を表に出したくなるのですが、それをぐっとかみ殺して演じる難しさがありますね。
石川五右衛門という盗賊はもっと豪快で、ぱーっとすべてをさらけ出してしまう人かなと思っていたので、最初は戸惑いました。演出の斎藤吉正先生が参考にと教えてくれたのがNHK大河ドラマ「黄金の日日」。その中で根津甚八さんが演じていた五右衛門をイメージしたそうです。ビデオを見ると、とにかくかっこよくて男っぽくてすてきなのですが、自分で演じるのは難しいですね。
歌は、まっすぐ感情を出せるので、気持ちいいですね。歌だから伝わることも多いと思います。衣装は、着物にブーツを履くなど変わっていますが、自分では違和感は感じませんね。
見どころは、やっぱり最後のカマゆでのシーン。目的を成し遂げられなかったくやしさを捨てて、自ら死に直面する彼の生き方はすごくすてきだと思います。自分からカマに飛び込む五右衛門の心情や姿がお客さまにどう伝わるか? わたし自身も、楽しみにしています。
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あらん・けい 平成3年、初舞台。雪組に配属。三拍子そろった男役として早くから注目を集め、10年、「イカロス」でバウホール公演初主演。12年、星組に組替え。バウ公演「花吹雪 恋吹雪」(11月2−7日、東京・千駄ケ谷の日本青年館大ホール)に主演。