「ルートヴィヒII世」で演じている作曲家のワーグナー=写真右=は、動と静の両面をもった男性です。彼の音楽だけを聴くと、大きくて心の静まるような感じ。
一方で、お金や政治、女にもうるさい人だったようです。女の人にもてるというのは、それだけ男としての魅力もあったのでしょうね。
けいこ中は資料をいろいろ読みました。OGの紫苑ゆう(元星組トップスター)がルートヴィヒに凝っていて、たくさん資料を持っていたので借してくれたんですよ。
舞台ではルートヴィヒに対する純粋な面と、それ以外の男としての荒っぽさの両方をくっきり出そうと心がけました。
コジマとビューローと3人の場面では、いんぎん無礼な面を意識しています。バイロイト祝祭歌劇場では、ルートヴィヒとワーグナーのそれまでの12年間を、しっくり落ち着いた感じで表現できればと考えました。
東京公演で台本が少し変わって、演じやすくなりました。まず、登場のエッケルトと会話で、なぜルートヴィヒに会いに行くかが意味だてられるので、その後、ルートヴィヒにとても会いやすい。そして五重唱では、それぞれの人物の気持ち、立場が伝わる。それによって自然に気持ちがつながって、流れるように演じられるようになりました。
今度は着流しでちゃきちゃき、いきな江戸の男を演じてみたいですね。
interview by TAKUBO,Oko/田窪桜子
Photo offered by TAKARAZUKA/宝塚歌劇団
(産経新聞夕刊「タカラジェンヌBest Scene」=東京3月24日、=大阪3月31日掲載記事)