『ベルサイユのばら』の挿入歌は、『愛あればこそ』などシンプルですよね。心で埋めるしかない。心のある方が歌い継いできたから名曲は残ったんだな、改めていい曲だなと思います。この歌を舞台で歌えるときがくるなんて思ってもいなかったので、アンドレ役=写真右=をいただいたときは不思議な感じがしました。
初めて通しけいこをしたとき、二幕でオスカルが結婚するって聞いたとたん、もう本当に嫌で。そのとき、自分にきたショックがすごかった。毒を盛った後、彼女にあやまって、「ジェローデルと幸せに」と去ったときも心が痛くて、どうしたらいいか分からないほどぼーっとしちゃって。心が疲れてしまった。
その後、手を握られて「好きか?」なんて告白されたら、もう幸せですよ。「セピア色の化石ともなれ」なんて普通ならかゆいようなせりふが、そのシーンになったらすんなり出てくるんです。
『ベルばら』の登場人物ではオスカルが好きなんですよ。そのオスカルをひたすら愛する役ができるというのは、ファンみょうりにつきます。オスカルを愛しているけど、結婚できないとあきらめながらそばにいる。その辛さがアンドレを大きくしたんですね。オスカルを思い、守り、ともに生きて最後は結ばれる。彼の人生は幸せだったんだなと思います。