香寿たつき・渚あき 星組 新トップ インタビュー

 02/01/17 産経新聞東京夕刊
 Text By Takubo,OKO/ 田窪桜子

宝塚歌劇団星組の新トップコンビ、香寿たつき・渚あきが東京・日比谷の東京宝塚劇場『花の業平/サザンクロス・レビューII』でお披露目公演を行った。香寿が入団16年目、渚が14年目と、キャリアを積んだ実力派コンビだけに、お披露目とは思えない落ちついた舞台が好評だった。今年はさらなる飛躍の年。来月の名古屋・中日劇場公演を前に、2人に聞いた。

−−お披露目初日の感想は

香寿たつき 思っていたより緊張していなかったのですが、開演アナウンスが流れた途端、緊張が…。幕開きで手に持っていた桜の枝が震えているのがわかるんです。常に「落ちついて落ちついて」と自分に言い聞かせて演じていました。

渚 あき 出るまではすごく緊張して、袖で待っているときもすごくドキドキしていたんです。でも始まると、緊張している時間も余裕もなくて必死でした。

−−星組出身でないお2人が星組トップになる戸惑いはありましたか

香寿 たしかにこれまででは考えられない状況でした。でもそれがいい形に働き、組のみんながすごく助けてくれた。星組の下級生たちにはこれまで築き上げてきたことがしっかりあるので支えてくれました。

 花組から組替えしてきて、1カ月ぐらいしかけいこができなかったのですが、みんなすごくあたたかくて。客席もすごくあたたかくて、「ずっと星組ファンで新トップは不安だったのですが、感動し納得しました」というお話をきいたときはうれしかったですね。

−−“熟年コンビ”なんて言われていますが

 学年が上ということは、ある程度のものができて当たり前ということ。その分、しっかり舞台を務めなくてはと、いいプレッシャーです。

香寿 もしもっと早くにトップになっていたら変なプレッシャーを感じて、今の自分より成長できていなかったと思うんです。いろいろ経験してきたことで、きちんと受けとめられ、初日を迎えられたと思います。

−−『花の業平』の役づくりについては

香寿 昨年の1月にノル(稔幸)さんが演じていらっしゃった業平に対し、私の演じた基経は悪に例えられる役。ノルさんのファンに恨まれて本望と思って演じていました。次に業平を演じることになったとき、相手役の高子もゆり(星奈優里)ちゃんとあき(渚)ちゃんではカラーが違います。高子を守り、貫き通す愛、誠実な強さを出したいと考えました。

 高子って脚本や演出の先生方の理想の女性像なんですよね。自分の意思をはっきり言い、正直に生きた女性。香寿さんの持っている業平像に、心の中の情熱でこたえていかなくてはいけない。そして業平に想われるだけの女性に見えなくては…難しいですね。

−−お互いの印象は

香寿 久しぶりに組んで、すごく成長したなと思います。はかなげで宝塚の娘役らしい一方で、情熱的な強い女性像を出すのが苦手なタイプなので、今後はあきちゃんがあんなパワーを出せるのかって、びっくりさせてほしいですね。

 香寿さんはすごい人なんですよ。技術的にもそうですが、持っているパワーがすごいの。舞台の上で業平さまに会えるのがとてもうれしくて。今はついていくのに必死ですが、バーンとぶつかっていけるものを身につけたいですね。

香寿 普段も仲がいいんだけど、舞台の上のふたりを見て、お客さまが「このふたりはいいなあ。うらやましいカップルだな」と思っていただけるような、心に残るコンビになりたいですね。

−−星組については

香寿 みんなすごく頑張っているんです。手を抜くなんて1人もいない。生き生きしていて刺激を受けます。みんなが頑張っているのがプリズムのように私たちに反射して、私たちも輝けるのだと思います。

−−今後は

香寿 宝塚らしく、もちろん美しいものを追求していかなくてはいけない。でも1人の演劇人、役者として、芝居の中での役割をまっとうする姿勢は忘れないようにしたいですね。役に近づきながらも香寿たつきのカラーを打ち出せるようになりたいです。

 「どんなに悲しい役でも、おなかの底を明るくしていなさい」といわれたことがあるんです。演じる人の気持ちがどんよりすると、違う意味の悲しみが生まれてしまう。いつも心の中をクリアにしておいて、役に向き合えるようにしていたいですね。







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美貎(びぼう)の貴公子、在原業平(右・香寿たつき)と政敵の娘、高子(渚あき)の悲恋を描く『花の業平』の舞台。

名古屋の中日劇場公演は2月2−21日。

問い合わせは中日劇場TEL052・263・7171。



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