『猛き黄金の国』で演じている三野村利佐衛門は三井組の大番頭。日本物は経験が少ないので、台本に素直に、役柄にあった所作を大事に役作りをしました。
利佐衛門は三菱の創始者となる岩崎彌太郎を商いの世界に導いて、終生のライバルとなっていきます。商人でありながら、内面は武士のような心意気をもった人。情勢をきちんとつかんでいた頭のよい人です。
商人らしいお辞儀の仕方や、でんと構えた風情など、所作では利佐衛門の性格が動きで出るようにと心がけました。
利佐衛門の一生、その時々の考えが物語にきっちり流れているので、やりがいがあり、とても気持ちよく演じられます。じっくりと一人の男の生涯に取り組めるのがうれしいですね。最後は自分でかつらに白髪を入れました。格好よさよりも役がどう伝わるかを一番に考えたかったんです。
モノローグが多いのは難しいように思えますが、むしろやりやすいです。そのときの心を声で伝えながら、演技はやりすぎないように気をつけています。
本当にいろいろな面をもっている大きな男性。毎回、演じながらも役柄のもっていき方が変わっていきますし、お客さまもそれぞれ受け取り方が違っていいと思います。
八月に専科に移動します。お芝居は大好きなので、じっくり取り組める役に出合えるのを楽しみにしています。